「どうも、きょうのことばかりは、胸が傷みました。周都督は、軍の総司令だし、黄蓋は年来の先輩。諫めようにも、あのお怒りでは、かえって、火に油をそそぐようなものですし……ただはらはらするのみでした。――けれど、先生は他国の賓客であり、先頃から周都督も、心から尊敬を払っておられるのですから、もし先生が、黄蓋のために取りなして下さればとは、ひとり魯粛ばかりでなく、みなそう思っていたらしく見えました。……然るに、先生は終始黙々、手を袖にして、ついに一言のお口添えもなさらず、ただ見物しておられた。……それには何か深いお考えでもあったのですか」