セリフ詳細

「どうも、きょうのことばかりは、胸が傷みました。周都督は、軍の総司令だし、黄蓋は年来の先輩。(いさ)めようにも、あのお怒りでは、かえって、火に油をそそぐようなものですし……ただはらはらするのみでした。――けれど、先生は他国の賓客であり、先頃から周都督も、心から尊敬を払っておられるのですから、もし先生が、黄蓋のために取りなして下さればとは、ひとり魯粛ばかりでなく、みなそう思っていたらしく見えました。……然るに、先生は終始黙々、手を袖にして、ついに一言のお口添えもなさらず、ただ見物しておられた。……それには何か深いお考えでもあったのですか」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第99話、苦肉の計

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。