セリフ詳細

「私はむしろ、わが君が、何で私を制止されたか、お心を疑うほどです。この許昌(きょしょう)の都に親しく留まって以来、眼にふれ耳に聞えるものは、ことごとく曹操の暴戻(ぼうれい)なる武権の誇示(こじ)でないものはありません。彼は決して、王道をまもる武臣の長者とはいえぬ者です。覇気横溢(はきおういつ)のまま覇道(はどう)を行おうとする奸雄(かんゆう)です。その野心をはや露骨にして、公卿百官を始め、十万の将士を前に、(かみ)(おか)し奉り、上を立ちふさいで、自身が臣下の万歳をうけるなどという思い上がった態を見ては、余人(よじん)は知らず、関羽は黙止しておられません。……たとえ如何ようなお咎めをうけるとも、関羽には忍び(がと)うて、この身がふるえます」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第61話、金鈚箭

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。