「劉備は一世の英雄。いかに切歯したところで、彼が正陣を布いているうちは、打ち破ることはできない。ただ長陣となっては、この炎暑と病人の続出と、士気の惰することは、如何ともすることができず、ために、水辺へ陣を移したのだが、それにも入念に計を設け、わざと弱々しい老兵軍をのこして我を誘い、自身は精鋭をそろえて、谷間にかくれていたものだろう。しかし、三日を待つといえども、わが呉軍がうごかないので、ついにしびれを切らして立ち去ってしまった。――順風徐々と我に利あり、見給え諸君、もう十日も出ないうちに、こんどこそ蜀軍は四分五裂の滅亡を遂げるから」