「ずっと以前――私の少年の頃ですが、郷里の楼桑村に来て、しばらく滞在していた盧植という人物があります。私は、その盧植先生について、初めて文を学び、兵法を説き教えられたのです。その後先生はどうしたかと、時おり、思い出すのでしたが、近頃うわさに聞けば、盧植先生は官に仕えて、中郎将に任ぜられ、今では勅令をうけて、遠く広宗(山東省)の野に戦っていると聞きます。――しかしそこの賊徒は、黄匪の首領張角将軍直属の正規兵だということですから、さだめしご苦戦と察しられるので、これから行って、師弟の旧恩、いささかご加勢したいと思うのです」