セリフ詳細

「いや、恩着せがましく申しては、ご不快かも知れぬが、あの折、敗亡遁竄(とんざん)の果て、ご一身を容るる所もなき皇叔に、(あわ)れみをかけた御方は、天下わが主おひとりであった。後なお、莫大な国費と軍馬を()して、曹操を赤壁(せきへき)に破ったればこそ、皇叔にも、ふたたび時に遭うことができたというもの。――しかるに、蜀も取りながら、まだ荊州をお返しなきは、いわゆる飽くなき貪慾、凡下(ぼんげ)だに恥ずる所業といわれても仕方がありますまい。ましてや人の師表に立つ御方ではないか。将軍はどうお考えになりますか」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第130話、荊州のあれこれ

作者名:畑山  hatakeyama

111|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。