「われ戦わぬこと百数十日、天雨を注がぬこと月余。いまや機は熟し、天の利、地の利、人の利ことごとく我にあり矣。――まず朱然は、茅柴の類を船手に積み、江上に出て風を待て、おそらくは明日の午の刻を過ぎる頃から東南の風が波浪を捲くだろう。風起らば江北の敵陣へ寄せ、硫黄焔硝を投げて、彼の陣々を風に従って焼き払え。――また韓当は一軍を率いて、同時に江北の岸へ上陸する。周泰は江南の岸へ攻めかかれ。そのほかの手勢は臨機に我輩のさしずを待て。かくて明夜をいでず、劉備のいのちは呉の掌のうちのものとなろう。いざ征け」