セリフ詳細

「なぜ馬超が、そんな苦しい立場に陥っているかというに、実は、それもかくいう臣孔明が、手をまわして、そのたねを()いておいたものでした。元来、漢中の張魯(ちょうろ)という野心家は、どうかして漢寧王(かんねいおう)の称号を得たいと常々から(ねが)っておるので、その腹心の楊松へ私から密書をやっておきました。楊松はまた慾に目のない男ですから、多額な金品をあわせ賄賂(まかの)うてくれたことも申すまでもありません。――そこで私の書中には――わが主劉備が蜀を収めたら、天子に奏して、きっと張魯をして、漢寧王に封ずるように運動しよう。このことは確約してもよろしい。……しかしそのかわりに、馬超を葭萌関(かぼうかん)から呼び返し給え。そう申しつかわしたわけです」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第128話、張飛と馬超

作者名:畑山  hatakeyama

111|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

223,921 views

青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。