セリフ詳細

「されば、それを告げんがために、わざわざ参ったことゆえ、申さずにはおられん。――思い給え、尊公はかつて、天子が長安から還幸の途次、御輦を護って、忠勤を励んだ清徳な国士ではなかったか。しかるに今日、偽帝袁術(えんじゅつ)をたすけ、不忠不義の名を求めんとしておる。――しかも偽帝の運命のごときは、尊公一代のうちにも滅亡崩壊するにきまっている。一年か二年の衣食のため、君は生涯の運命を売り、万世までの悪名を辞さない気でおられるのか。もしそうだとしたら、君のために嘆く者は、ひとりこの老人のみではあるまい」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第56話、陳珪、再び暗躍す

作者名:畑山  hatakeyama

111|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。