セリフ詳細

「いま、御勅問に接し、おぼえず感傷のこころをうごかしました。――という仔細は、臣が祖先は中山靖王(ちゅうざんせいおう)後胤(こういん)、景帝の玄孫(げんそん)にあたり、劉雄(りゅうゆう)が孫、劉弘(りゅうこう)の子こそ、不肖劉備でありまする。中興の祖劉貞(りゅうてい)は、ひとたびは、涿県(たくけん)陸城亭侯(りくじょうていこう)に封ぜられましたが、家運つたなく、以後流落して、臣の代にいたりましては、さらに、祖先の名を辱めるのみであります。……それ故、身のふがいなさと、勅問のかたじけなさに思わず落涙を催した次第でありまする。みぐるしき態をおゆるし下しおかれますように」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第61話、金鈚箭

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。