セリフ詳細

「古言にもある。主ニ(ソム)イテ盗ミヲナス(イズク)ンゾ期スベケンヤ――と。黄蓋いま、深恨断腸(しんこんだんちょう)、三代の呉をそむいて麾下(きか)に降らんとするにあたり――もし日限を約して急に支障を来し、来会の日をたがえたなら、丞相の心はたちまち疑心暗鬼(ぎしんあんき)にとらわれ、遂に、一心合体の成らぬのみか、黄蓋は拠るに陣なく、帰るに国なく、自滅の外なきに至ります。故にわざと日時を明示せず、好機を計って参らんというこそ、事の本心を証するもの、またよく兵の機謀にかなうもの、これをかえって疑いの種となす丞相の不明を、(あわ)れまずにいられません」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第100話、連環の計

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。