セリフ詳細

「――で、驪姫は、春あたたかな一日、献公を楼上に迎えて、簾のうちから春園の景をうかがわせ、自分はひそかに、(えり)(みつ)を塗って申生を園に誘いだしたものです。――すると、多くの蜂が当然、甘い蜜の香をかいで、驪姫の髪や襟元へむらがってきました。……あなやと、なにも知らない申生は驪姫の身をかばいながらその襟を打ったり背を払ったりしました。楼上から見ていた献公はそれを眺めて、怖しく(いきどお)りました。驪姫にたわむれたものと疑ったのです。――以来申生を憎むことふかく、年々に子を邪推するようになりました」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第88話、敵討ち

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。