セリフ詳細

「さもあらば大事を成すの機今日にあり! です。彼が百万の大軍もみな遠征の疲れ武者、ことには、当陽の合戦に、あせり立つこと甚だしく、一日三百里を疾駆したと聞く。これまさに強弩(きょうど)末勢(まっせい)。――加うるにその水軍は、北国そだちの水上不熟練の勢が大部分です。ひとたび、その機鋒を(ひし)がんか、もともと、荊州の軍民は、心ならずも彼の暴威に伏している者ばかりですから、たちまち内争紛乱を(かも)し、北方へ崩れ立つこと、眼に見えるようなものです。この賊を追わば、荊州へ一挙に兵を入れ給うて、劉予州と鼎足(ていそく)のかたちをとり、呉の外郭(がいかく)をかため、民を安んじ、長久の治策を計ること、それはまず後日に譲ってもよいでしょう」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第94話、呉、紛糾

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。