セリフ詳細

「無礼なり孫権。――もとより荊州はいつか呉へ還さんとは思っていたが、汝、いたずらに小策を(ろう)し、わが夫人(つま)(あざむ)いて、呉へ呼び返すなど、劉備の面目を無視し、夫婦の情を(しいた)げ、いつかはこの恨みをと、骨髄に刻んでいた劉備の心を知らないかっ。――むかし一荊州にありし時だに、汝ごときは物の数としていたわれでない。いわんや今、蜀四十一州を(あわ)せて、精兵数十万、肥馬無数、糧草は山野に蓄えて、国人(くにびと)みな時にあたるの覚悟をもつ。汝、いかに狡智(こうち)(ろう)すとも、力をもって荊州を取ることを得んや」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第130話、荊州のあれこれ

作者名:畑山  hatakeyama

111|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

223,921 views

青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。