セリフ詳細

「いや、聖人は猟をしないかもしれませんが、いにしえの帝王は、春は肥馬強兵(ひばきょうへい)()、夏は耕苗(こうびょう)を巡視し、秋は湖船をうかべ、冬は狩猟し、四時郊外に出て、民土の風に親しみ、かつは武威を宮外に示したものです。おそれながら、常々、深宮にのみ御座(ぎょざ)あっては、陛下のご健康もいかがかと、臣らもひそかに案じられてなりません。――かたがた、天下はなはだ多事の折でもあり、陛下のみならず公卿たちも、(まれ)には、大気に触れ、心身を鍛え、宏濶(こうかつ)な気を養うことが刻下の急務かと考えられますが」

作品タイトル:三国志

エピソード名:第61話、金鈚箭

作者名:畑山  hatakeyama

126|歴史|完結|156話|1,238,935文字

三国志

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青空文庫より、吉川英治、三国志をチャットノベル化
幾分、内容文章を変えています。