帝大リローデッド

[現代ドラマ・社会派]

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【あらすじ】
 東京六大学野球リーグで万年最下位の東京大学野球部。新監督に就任した野木裕一は春のリーグ戦開幕を目前にした日、野球部長の添田隆から六大学連盟の驚くべき動きを伝えられる。それはリーグ創立以来、早慶、明治、法政、立教、東大と、不動の六校で構成する六大学に新しく二部制を導入し、一部最下位校は新設の下部リーグ首位校と入れ替え戦を実施するという前代未聞の理事会提案だった。
 高校野球の強豪校からのスポーツ推薦入試がない東大の戦力では入れ替え戦などすれば一部リーグからの脱落は必至だ。この情け容赦のない連盟提案を、七十連敗や八十連敗などどれだけ負け続けても東京六大学にとどまることのできる東大に対する露骨な排除策とみた添田は野木に重大な指示を出す。
「次のリーグ戦で優勝せよ」
 添田はそう厳命した。部制導入を阻止し、東京帝国大学の時代から綿々と続く六大学野球の一員としての伝統の灯を消さないためには、優勝して他校にひけをとらない実力を示す以外にない、と添田は強調した。
 ビリが定番の弱小チームにはたして優勝など可能なのか。がけっぷちの東大野球部を救える手立てはあるのか。不可能とも思える使命を課せられた野木は、チームの戦力を詳細に分析した結果、ある結論に達する。野球は投手が七割の確率で打者を抑えられる特異なスポーツだ。高校野球では打線が弱くても三振のとれる剛腕投手がいる学校は強い。ゆえに、目先の勝利を得る近道は本格派投手の緊急補強以外にないというのが野木の見立てだった。
 では、どんな人材が存在しうるか。早慶や明治、法政ほどのマンモス大学ではないものの、東大も万単位の学生数を誇る日本有数の総合大学だ。高校の野球部時代に私学の野球強豪校相手に力投した経験があり、東大では理系のためにプレーをやめた、そんな隠れたアスリートの素材がいるのではないか。もうひとつ、注目したのが身体能力に優れた外国人の留学生だった。正規留学している外国人学生は体育会運動部に所属資格があるはず。野木はそうにらみ、野球部マネジャーの白井翔とともにあらゆる情報網や人脈を駆使してスカウト活動に乗り出す。
 まず目をつけたのが留学生だった。他大学では駅伝やラグビーなどで活躍する留学生がたくさんいる。東大にはざっと二千人からの男子留学生がいた。なかには米国のハイスクール時代に大リーグのドラフト候補になりかかったような逸材がいないとも限らないではないか。ドミニカやプエルトリコなどで本格的に野球をしていた経験者がいるかもしれない。だが、野木の期待とは裏腹にこれといった外国人学生に行き当たらないまま選手登録締め切り日が迫ってきた。そんなある日、野木はスポーツ新聞のとあるコラムを目にする。そこには街角のバッティングセンターの投球コーナーで、球速150キロ超を連発してギャラリーをどよめかせた若い男が東大生と自称したという注目すべき内容が書かれていた。野木と白井はこの男の正体を突き止めようと動き始める。

目次

完結 全1話

2023年07月03日 21:44 更新

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小説情報

帝大リローデッド

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執筆状況
完結
エピソード
1話
種類
一般小説
ジャンル
現代ドラマ・社会派
タグ
【骨太小説】
総文字数
105,065文字
公開日
2020年05月29日 15:50
最終更新日
2023年07月03日 21:44
ファンレター数
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