セリフ詳細
「この五キロほどの道の両側に並んだ受付の数ほど神や仏が居るんなら、その神や仏は現世ではどうやってシェアリングをしてるんでしょうかね?
熱心な信者を沢山作って彼等信者をして少しでも多くの信者を獲得させた神仏が力を持つ。
現世では確かにそうです。まるで田舎の選挙と同じじゃありませんか。
そして、ひとつの信仰を持った人は、他のすべての宗教から見れば”救われぬ者” ということになりますよね。
でも、本人は正しい信仰を得たと思っている。他は皆インチキ臭い似非宗教だとね。
なにしろ、絶対神や未来永劫の仏が何人と言っていいのかいくつと言っていいのか分からないけど、いっぱいいたら変ですよね。
ということは、ある宗教だけが正しくて、あとはみんなインチキということになる。
それぞれの信者は皆、自分の信じている神あるいは仏だけが正しくて、他は皆インチキと思っている。
”唯一無二” ってそういうことですよね。
だから、他を否定し、憎しみ合う。宗教が憎しみや争いを生んでいないと誰が言い切れるんですか。
……で、どの宗教も言うことは同じ。”死んだ時に、我々の信仰が正しかったということが証明される”
歴史上宗教が原因で起こった虐殺や戦争なんて、掃いて捨てるほどあるじゃないですか。
信仰が平和をもたらすなんて、最大のアイロニーじゃないかって、俺は思ってるようです。平和は内輪だけのこと、外は信仰の敵だらけ」
俺と朴とアリ。三人はどうやら友達らしいんだが、何故か一緒に死んじまったらしい。殆ど覚えていないから、何故死んだのかも分からない。