ライゼン王国はダンジョンと生活を共にする王国として知られていた。
　王都の地下に存在する巨大な迷宮は初代国王によってある程度まで攻略され、人々は地下数階までを地上世界と同じように居住空間として利用していた。
　代々、王家の人間はこの迷宮をある階層までクリアしなければ、次代の王に慣れないという慣習がある。当代の王太子ファドネルを婚約者に持つ白魔導師のエレンは、彼の戴冠のために共に地下迷宮に降りることに。そこで自他問わず運命の路を見る能力に目覚めたエレンは、王太子が自分を殺そうとしていることを知る。
　そのタイムリミットは、婚約破棄をエレンが受託したとき。
　王太子は地下に降りた仲間の一人、女司祭エルメスに浮気し、エルメスを手に入れるためにエレンが邪魔になったのだった。
　エレンは婚約破棄回避に動き出す。