セリフ詳細

「木蓮」


 少し靄がかかっていたものの、外は明るく、天気が良い。

 家の鍵を閉め、コートに手を突っ込んで歩き始めた。

 家から職場までは歩いて五分。公園を横切るともう到着という近さのために、徒歩通勤である。

 公園の木々は、枯れ果てているように見えるけれども、近づいてみると小さなつぼみを蓄えている。春に向けて静かな準備を始めているのだ。

 と、周囲がなんだかいつもよりもきらめいて見えた。

 気のせいかとあたりを見回す。

 風花というわけでもないようだ。小さな氷の粒だろうか。太陽の光にきらきらと輝いている。ダイヤモンドダスト? いやいや、東北とはいえ、それほどの極寒ではない。

 僕には何という現象なのかはわからないけれど、小さな氷の粒の乱舞に、心が弾んだ。

作品タイトル:花言葉ものがたり

エピソード名:木蓮

作者名:観月  tukinoniwa

132|その他|連載中|22話|23,297文字

花言葉, 掌編

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花言葉をお題にした掌編集を、作りたいなと思いました。
参加してくださる方→好きな花を選んで頂き300-500程度の小さなお話を投稿してください。
作中、特に表記のないイラストは、全てイラストACさんよりダウンロードした、夢宮愛さん(https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=aichinnokobeya&area=1)の作品です。
小説だけでなく、お花にちなんだイラストや写真の投稿も歓迎です。