セリフ詳細
ここは東京近郊の武蔵野にある村山台、新宿まで急行で30分の京武線沿いの街だ。
昨日まで続いた長雨が止んだ後、今日の朝からはほぼ快晴の天気で、いま僕は午後のパトロールのため日課のコースを足取りも軽く歩いていた。
久しぶりの晴天で、そんな青空を仰いでいると飛行機が飛んで行くのが見えた。青空にひこうき雲の細く白い線が伸びていくのをしばらく見ていた。適度にそよ風が吹いて来てヒゲを揺らした。とにかく散歩には持ってこいの日だった。
のどかな空気の中リラックスした僕の意識を刺激するように、後方から嫌なプレッシャーを感じた。そして素早くその方へ振り返ってみると、そこに一匹のキジトラ模様の猫が立っていた。この界隈で僕と一進一退の縄張り争いをしている目つきの悪い猫だ。しっぽが半分欠けていて人相も悪い又蔵という名前のオス猫だった。僕とそいつは地味なにらみ合いのなか二匹のあいだを一筋のつむじ風が吹き抜けていった。
僕と又蔵は一歩も譲らず、そのままガンの飛ばし合いをし続けた。見えない火花が散り、僕の背中の毛は自然に逆立った。
又造は動きこそ遅いが、片方の耳が縮れたその頭は物凄く堅く頭突きでコンクリートも砕くと噂される喧嘩慣れした猫だ。奴のパンチを避けられたとして、その後に追撃を食らった場合、ただではすまないだろう。
無言のにらみ合いを続ける中、二匹に挟まれた空気はバチバチとボルテージが上がってゆくばかりだ。どうやら今日のヤツの虫の居所は悪いらしい。一触即発はどうにも避けられそうになかった。もうここはやりあうしかないのか・・・・。
僕の肚が決まり前進仕掛けた瞬間、そのヒリヒリした空気を壊すかのように背後から甲高い若い人間の笑い声が聞こえてきた。
反射的に振り返ると、その声はこの辺でよく見る制服を着た二人の高校生だった。二人の少女はおしゃべりに夢中になってこっちの方に近づいてくる。
作品タイトル:とある廃墟ビルディングにて~赤い目の女編~
エピソード名:第1話
作者名:Tadashi_Kimura
★3|ホラー|完結|5話|20,296文字
悪霊, 心霊スポット, 黄昏症候群, オカルト, ホラー, 怪談, 高校生, カタストロフィ, 都市伝説, R15
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学校が終わり下校中の二人の女子高校生ヨウコとレイカ。他愛ないおしゃべりの最中にレイカが最近よくこの周辺で噂されている女性の幽霊のうわさ話を口にした。村山台駅のホームからも見えるビルディングにまつわる噂だ。明かりが灯るはずもないその最上階に、赤く二つの光が見えるという。そのビルは放置されてから10年は経つ廃墟でそこで飛び降りた女の幽霊が出るとか、火災で死んだ人の霊がうろついているとか、様々な曰くつきの噂が絶えない場所だ。おしゃべりで終わるだっはずが、好奇心もしくはこの世に存在しない何者かの手によって背中を押されたか分からないが、彼女らは噂の真相を突き止めるために、とある廃墟ビルディングへと向うのだった。その場のノリで行ったにすぎないかった廃墟で彼女たちが見たものとは‥‥。
※これは一般小説で書いた作品をテスト感覚でチャットノベル化してみた作品です。
人によって描写がグロくショッキングに感じるところがあるかもしれません。
表現の一部に人によってはグロやショッキングに感じるところがあるかもしれません。
これは必ずしも連続性はないですがシリーズ物です。