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ここだけの話⑪【第八章 うごめく者たち 後編(1)】

リラは閲覧室において持ち前の集中力を発揮し、任務に向けての調べものに奔走します。多くは彼女にとって、おさらいに過ぎないものでしたが、状況を整理するなかで、いくつかの気づきもあったようです。

二百年前の戦火で無力感を味わった魔術師たちは雪辱の機会を狙っていました。古代の高位魔術に並ぶため研鑽をつづけた結果、数十年前の戦乱において、戦場での勝敗を左右する事となった集団魔術を生み出してしまいます。

強力な魔術ではあるものの、戦火の拡大や人体への影響、暴走事故の懸念がつきまとっていたことから、若いアトワーズや、のちの賢者ゼラコイを始めとする魔術師たちが廃止の声を上げました。
議論には、戦場での主役の座を脅かされた騎士層も加わったため、集団魔術は現在、国同士の取り決めにより――表向きには――使用禁止とされ、異端研究と同様に扱われています。同時に、魔術師の地位には事実上の制限が設けられたため、両方の件についてエルトランが論文で批判しています。

それはそうと、学院には結界魔術によって隠蔽された禁書庫が存在するという、もっぱらの噂です。調べるうちに、エルトランの専門が結界魔術だと確信したリラは、彼が結界を破って侵入したのだと結論づけました。
盗まれた魔術書は危険なものに違いない、というリラの疑念がいよいよ現実味を帯びてきたのです。

閲覧室において、リラは誰かに見られているような感覚に襲われます。また、調べた卒業者名簿についても違和感が……。
と、ここまで書いて筆者も違和感に気がつきました。これは、あらすじではないですか! おまけに前・中・後編としたのに終わっていません。と……とりあえず後編(2)につづきます。

2022年 01月16日 (日) 01:28|コメント(0)

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