五月の死神

[ミステリー]

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20件のファンレター

――佐伯さん、あなたずいぶんね。せっかくお手紙さしあげたのに知らんぷりして……。
昭和初期のミッション系高等女学校。
クラスの女王・杠和子と、「死神」とあだなされる佐伯文枝。
二人の少女の関係は、意外な方向に動き始める……。

※本作は昭和八年(1933年)に起こった「三原山女学生心中事件」をモチーフにしていますが、作品内容は作者の純然たるフィクションです。

ファンレター

こちらではお久しぶりです^ ^

何処で感想をお伝えしようか迷いましたけど、レターを受け付けていらっしゃるのならここに書くのがスジかなと思いまして、久しぶりにレターを出させていただきますm(__)m

南ノさんが描く昭和初期という時代背景の物語、そして「少女」、これだけでも魅惑的なお話になることは間違いないのですけど、「三原山事件」に「エス」を絡めた「ミステリー」ですから、読まないわけにはいきません!

細かい設定も史実をお調べになられたことがよく分かりますし、当時の価値観や道徳観、特に「女学生」を取り巻く社会的な不遇、ジェンダー格差(差別と言ってもいいでしょう)など、私の知らない筈の時代なのに、読んでいると空気や世界がトリップしたように伝わりました。

少女たちの息苦しさ、儚さ、健気さ、芯の強さ、優しさ……全てに感情移入してしまい、泣けてきました。
ミステリーとしての構成も素晴らしいですね!
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、19話「過」での意味深な傍点のルビ、そこからフィニッシュまでの怒涛の展開は圧巻でした!

そして、エピローグ……最後にこのシーンを持ってくるのはズルいです!
こんなの、絶対泣いてしまいますって!
ものすごーく読み応えのある感動的な物語、ありがとうございました!

返信(1)

茉莉花さん!
こちらでレターをいただけるなんて、感動です‼

この作品の核にある(と自分が思っている^^)ものは、茉莉花さんのおっしゃる通り、正にジェンダー格差(差別)の問題です。例えば、吉屋信子は、デビュー時から一貫してそういう社会問題を扱っていたのだと私は思っています。ただ、それが「少女小説」というカテゴリーに入れられてしまうことによって、「社会派小説」としての側面は軽視されてきた、というかほとんど無視されてきたんですね…。
そもそも、「少女小説」というカテゴライズが、日本の文芸界ではやや蔑称的な意味合いを持つような気がするのですが、「赤毛のアン」にしろ「若草物語」にしろ、優れた「少女小説」というのは、実はそのまま「社会派小説」であると私は思うんです。少女を主人公にすると、当時の社会の問題点がよくわかるという意味で……。
と、こういう話をすると、なんだか意識高い系の小説を志した(?)みたいになってしまいますが、問題意識は問題意識として、内容はあくまで、一種のミステリーとして面白く読んでいただけることを目指しました。茉莉花さんに「ミステリーとしての構成もいい」とおっしゃっていただいて、とっても嬉しく、また報われた気持ちです!

実は最初の構想では、第21話で終わるつもりだったのですが、それだと倭文子があまりにかわいそうな気がして、あのエピローグになりました。自分でもちょっと気に入っていますので、「ズルい」との、ありがたいお褒めの言葉に、思わず「やった!」とガッツポーズを取ってしまいました♪♪
本当にありがとうございます(*^^*)