番外編 ハルトのマジ恋

文字数 3,590文字











                                 3月14日(木)


                            -PM 3時05分-


              《柳橋通り》



うーん···、バレンタインのお返しが山ほどありすぎて···
毎年この時期は辛いな··
その上、碓井の分まで買わされるとか···俺、一応オーナーなんですけど··






        タッタッタッ





          

··ん?




        ドンッ




おゎ····っとと






       どさどさっ





ひゃっ··
大丈夫?
ご、ご免なさい···っ

急いでいて··

あー··、いやいや問題ないよ

(荷物が全部落ちたな··)

手荷物を全部落としていますよっ!
····そうだね

いや、大丈夫だから

急いでんだろ?

こっちは構わないから

そ、そう言う訳には···

···それにしても荷物多いですね

あ~···、まあ···ね

このまま仕事場まで持ってかなきゃならないんだけどね··

··では、お詫びと言っては何ですが私も一緒に運びます
えっ?!

でも急いでるんじゃ···

ええ···、でも···もう諦めます···
···そ、それは··えーと··、助かるんだけど本当に良いの?
はい···、多分もう見付からないと思いますので···
··········

(誰かを追いかけていたのか··?)

··んー、じゃあお言葉に甘えてお願いしようかな
はい···






















                            -PM 3時50分-


                             【Para ti 】



ふー、やっと着いたな···
(ここが職場なのね、パラティ···って読むのかしら?何屋さんだろ··)
何だか悪かったね··
いえいえ、此方こそすみませんでした··
帰りは何処まで行くの?送ってくよ
あ、大丈夫ですよ!

私もこのあと仕事場に戻らないといけませんので

えっ、そうなの?!

だったら連絡先教えてくれないかな?

···えっ?!
本当はさ、この後用事が無かったらうちの店でお礼をしようと思ってたんだよね
そっ、そんな···、私が悪かったのにお礼なんて···
···ん、そんなこと気にしなくていいよ?
荷物の量が半端なかったから、本気で助かったし··
·················
···えっと、じゃあ··
····電話番号とLIENを··
うん、それじゃあ

後で連絡させてもらうね

は、はい···

それでは失礼します





        カランカラン-····





··何々?!

まさかオーナー、ナンパしてきたのか?!

そんな訳ねーだろ
それにしても、すげえ美人だなー!
あー··、そうだな
······
珍しいな··、女に目がないオーナーがあんな美人に興味なさそうなんて
熱でもあるんじゃねえのか?
別に普通だろ
(それにしても··、初めて会った気がしないのは何でだ··?)





















                                 3月16日(土)


                             -PM 7時30分-


                                 【Para ti 】

うーん····
····?
連絡をする暇がねえ··
あー、こないだの美人ね!
流石にそろそろ連絡しなきゃとは思ってんだけどなぁ
ま、別に向こうも待ってる訳じゃ無いんじゃね?
········
そう言えば、名前すら聞いてねえな
マジか···、オーナーともあろう者が女に名前すら聞かねえとは!
···取り敢えず、今連絡してみっか··
そんなに興味無いのに連絡すんの?
今回はそう言う疚(やま)しい気持ちで連絡するんじゃねえからな
··やっぱ熱あるな
















  プルルルル-··· プルルルル-···





·········
土曜日とはいえ、こんな時間に連絡すんのはアレだったかな··




        ピッ




っ!!!
もしもし···
あ···、今晩は

先日は有り難うございました

え、えっと···

もしかして、パラ··ティ?の··

はい、覚えてましたか?
はい··
あ··、でも今日は敬語でしたので少し悩みました··
あ~··、そっか

じゃあ敬語じゃない方がいいかな?

あ、まぁ··どちらでも構いませんが、どうかなさいましたか?
あー··、この間のお礼がしたくて··
·······

こんな事言うのは失礼なんですが

え?
ただの社交辞令だと思っていましたので、本当に連絡をくれるとは思っていませんでした
·····まぁ、気持ちは分かるけど
ご、ご免なさい··
あ、いやいや··慣れっこだし俺の見た目に問題があんのかもなぁ
·······
あ、それでね

もし良かったら今から店に来ないかな?って思って··

い、今からですか····
急だし、やっぱ無理かな?
えっと····、じゃあ··
···分かりました

では今から向かいますね

っ!
うん、待ってるよ
····何だかんだで、

顔がニヤけてるぜ?オーナー

別に普通だろ
嬉しいくせに~っ
仕事しろ!















                         -PM 8時15分-


                              【Para ti 】




         カランカラン-···




お帰りなさいませお嬢様
····えっ?
え、えっと···

今晩は··

お席までご案内致します
(な、何だか雰囲気が違うわ··)



















         《GUEST ROOM》



(ゲストルーム···、他の席と違って囲われているのね)
さあ、お掛け下さい··お嬢様
··········
どうかなさいましたか?
わ、私はもう·····
···え?
30歳です····

お嬢様ではありませんので··

っ!!!!!
(···やべ、何だこの子··)
(か、可愛い····)
·········
え、えっと··申し訳ありません

そんな事を言わせてしまうとは··

あの···、ここがどう言うお店か私にはまだ良く分かっていなくて··

ご免なさい··

あ···、じゃあ··

仕事モードは辞めようか

は、はい··
ここはね、一応ちゃんとしたカクテルバーなんだけど、お客様の対応は執事達がしているんだよ?
それって執事cafe的な感じですか?
そうだよ

元々は俺がカクテルバーを経営してたんだけど、流行りに乗ってみたって訳

な、成る程··

道理で接客慣れしていると思いました

あー··、まぁね··
あっ、そうだ!
え?
名前!

言うのも、聞くのも忘れてたよね

····あ、そうですね

ご免なさいっ

いえいえ

俺の名前は···

あっ!

ハルトくん見付けたっ!!

·········
·········
由紀乃さん··、申し訳あ··
私の執事はハルト君じゃなきゃダメって言ったでしょ?
いや··、今日はこちらのお客様が優先ですので申し訳ありませんが··
····ふーん、ハルト君ってこんな普通の人が好みだったんだ~、ガッカリ
········
····あ、あの

私はもう帰りますので··

えっ?!

ちょっと待っ··

あらあら、そうなのー?!

じゃあハルト君は私のモノねっ!

そ、それでは今日はお招き頂き有り難うございました···
まっ、待った!!
···え
よっ、夜道は危ないので

送らせて下さいっ!

っ!!!!!?
え··でも、お仕事中じゃ··

そ、それに···チラッ

······イラァ
あんた一体ハルト君に何したのよ?!
え?
ハルト君が誰かに固執する事なんて絶対にあり得ないんだから!
······

そ、そうですか

··········
ムッカァ
ほらっ!さっさと帰んなさいよっ!
これはこれは、由紀乃さん··

そんなに怒るとお肌に良くありませんよ?

碓井··
う、碓井くんっ!
申し訳ありませんが、オーナーはこれから少し外出の予定になっておりますので、別の執事でお許し下さい
(ほら、さっさと行けよな~)
(ああ··、助かるよ)
では、参りましょうか
は、はぃ··

(大丈夫なのかしら···)
















      -PM 9時30分-


    《境野噴水公園通り》




···さっきはごめんね
あ、いえ··

私こそ··ご免なさい

えっ?!何が?!
そ、その··何だかお邪魔しちゃったみたいで··
あ~··、あの方は常連様なだけで··


ってか、そんな事より··
え?
俺の名前!
あ···
って事で、
俺の名前は、伊吹 悠人って言います

今後も宜しくしてくれると嬉しいんだけど

は、はい··

私の名前は、

櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)と言います
···カンナ
っ!!!
うん!

可愛い名前だ!

········
あー···、あのさ
はい··
また··、連絡しても良いかな··?
っ!!!!
ハ、ハルトさんが迷惑でなければ··私は構いませんが··
っ!!
(··何だこの感覚··)
(すげえ嬉しい··)
そ、それでは私はここで···
送って下さって有り難うございました···っ
あ···っ、うん···

それじゃあ、また··

失礼します···っ
··········
なんか···やべぇ
·····ん?
櫻井って···

誰かの名字と同じだったような··

····まぁ、いっか
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登場人物紹介

名前 伊吹 遊馬(いぶきあすま)

年齢 19歳

身長 179㌢

体重 63㌔

趣味 弓道、スノボ、漫画、小説


本編の主人公。

極度な霊感体質な事から、有りとあらゆる百鬼から命を狙われている。

それ故に、物事を諦める思考のある性格。

レンに興味を持ち始める。

名前 櫻井 蓮(さくらいれん)

年齢 19歳

身長 150㌢

体重 内緒

趣味 お寺巡り、お経早口言葉、御詠歌


本編のヒロイン 

実家はお祓い家業を営んでいる。

アスマを助ける為に自らを犠牲にするが、犠牲とは全く思っていない根っからのお人好し。

名前 伊吹 悠人(いぶきはると)

年齢 35歳

身長 183㌢

体重 68㌔

趣味 カクテルの調合、アンティーク収集、ドリ車の改造


アスマの叔父【para ti 】のオーナー

自分の息子のようにアスマを可愛がっている。

女性関係には少々だらしなく、それ故に婚期を逃して未だに独身。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

身長 165㌢

体重 秘密

趣味 七変化、レンの子守


レンの親友

レンとは相当親しい間柄で、学校ではいつも一緒に過ごしている。

その正体は謎に包まれており誰も知らない。

名前 碓井(うすい)

年齢 33歳

身長 185㌢

体重 75㌔

趣味 車、バイク、バギー、


【Para ti 】のバーテンダー

見た目はヤバいく、口調も荒いが

実は紳士。

特にも女性には優しく、執事より人気が高い。アスマの事も可愛がっている。

名前 湊(みなと)

年齢 30歳

身長 177㌢

体重 62㌔

趣味 コース料理やスイーツの試作、海外で食べ歩き、彼女募集中


【Para ti 】のシェフ&パティシエ

基本的に落ち着いていて物静か。

生まれてこの方、怒った事が無い。

常に食材の事を考えている為、彼女にフラれる事が多い。

名前 ???

年齢 ???

身長 ·············

体重 ·············

趣味 ???


飼い猫のようだが·····?

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)  

年齢 35歳

身長 175㌢

体重 65㌔

趣味 野良猫の保護と世話、読書、創作料理


黒猫マートの店長

スーパーの様な品揃えでありながら、実は24時間営業のコンビニ店長。

猫が大好きでとにかく優しい。何事も猫優先のため彼女が出来ない。

名前 櫻井 梗(さくらいきょう)

年齢 26歳

身長 178㌢

体重 59㌔

趣味 酒を飲む、自然の中で小説を読む、使い魔を従える


レンの兄

お祓い家業を営みつつ、神社の神主を勤めている。霊力が強く百鬼は近づこうともしない。··最近彼女にフラれた。

名前 黒鉄(くろがね)

年齢 630歳

身長 190㌢

体重 78㌔

趣味 佐助の守護、佐助と散歩、佐助と昼寝


佐助の飼い猫(人型バージョン)

630年の時を経て、佐助(黒崎陵)との再開を果たし、今を幸せに暮らしている猫又。超級百鬼であり、百鬼の中でも敵はいない程の強さを持っている。


名前 櫻井 蘭蕉(さくらいかんな)

年齢 30歳

身長 160㌢

体重 秘密

趣味 筋トレ、太極拳、少林寺拳法


レンの姉(長女)

基本おっとりしているが、趣味は大体護身術や体を鍛える事。

仕事はグラフィックデザイナーで、中間管理職。

男性との縁がいつもいまいち。

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