真相
文字数 1,987文字
《アスマ自宅》
···えっ？！
··まぁ、私の予想は呪術師である方なんですけど
······
···実は私、子供の頃に百鬼に連れて行かれそうになった事があるらしいのですが··
····え
その日はお客様がいらしていたとかで··、その方に助けられたんだそうです
当時の事を私は覚えてはいませんが、父から教えられました··
······
その方のお名前は「桐生 蒼羽(きりゅうあおは)」さん
·········
そして、その方にも私と同い年のお子さんがおられるとの事でした
·······
··その方はもしかして··
アスマさんのお父さんではありませんか？
·····
··伊吹って名字は母方の名字なんだ
っ！！
俺の本当の名前は、桐生 遊馬··だよ
··やっぱり、父さんが助けを求めた呪術師ってのは··櫻井家だったんだね
··そうですか
でも、レンのお父さんは住職さんだよね！？呪術師ってのは··
呪術師とは、別に兄のような奴だけではなくて住職様にも沢山おられます
っ！！
特にも父は慶長様との繋がりが深いと言われておりますので··力は兄よりも強く優秀です
とは言え、私には父が何をしたのか··具体的な事は全く分かりません··
·····
父が以前アスマさんと会った時、どの様な思いだったのか··
·····もしかして
··え
俺とレンが出会ったのも偶然じゃなかったのか···？
っ！！！
だとしたら···、レンは···
········
だ、だとしたら···何ですか？
っ！！
私との出会いが必然なものなら··
わっ、私の事など···
い···っ
いやいやいやいやっ！！！
そんなつもりで言った訳じゃないよ！
··········
··むしろ俺のせいでレンの運命まで振り回してしまったのかと··思って
いや··、そんなの偶然でも必然でも同じ事だよな··
私は··、例え決められていた運命だったとしても
私の意思で今ここにいます··
そして、やっとアスマさんの呪いは解けた··
その瞬間を··、一緒に迎えられた事を本当に良かったと思っています
レン···
·····
··本当に有り難う
··でも、どうしてレンは父さんが呪術師だと思うんだ？
··前にも言いましたが、一般の方が百鬼との契約を行うのは難しいと言う事と
遠い昔に、不老不死の研究をしていたとされる呪術師の一族がいたらしいのですが··
その一族の名前が桐生だと聞いたことがありましたので··
不老不死？！
はい··
その研究には犠牲が付き物であり··
沢山の人間の命と百鬼の魂を使っていたそうなんです··
········っ！
そして、その研究が朝廷の耳に入ってしまった事で桐生家は滅ぼされたとされています··
·········
··しかし、当時その場を離れていた桐生家の者がおり、辛うじて血は絶えなかったのだと··
··ですので、恐らくアスマさんもアオハさんも、その子孫である可能性が高いのです
···そうか
まぁ··、これは私の見解ですから··
事実であるのかは正直分かりませんが··
···でも、だったら羅刹くらい自分で何とかすれば良かったのに
·····
お母さんの為だったのかもしれませんね··
···あ
きっとアオハさんは··、アスマさんが思っているよりも家族を大切に想っていたのかもしれません··
··········
親の心子知らず···
っ！
··って言いますからね
···レンの口からそれを聞かされるとは思わなかったな
··········
何れ··、私の父に全てを聞いてみましょう···
うん···
···今だから思う事は
もう少し父さんと話をしてみたかった··
··どんな人で、何を考えていたのか··
俺達の事は見ていてくれてたのか··
たったそれすらも
今では聞くことが出来ない
··全ては、もう叶う事はない
··桐生家が不老不死の研究を
始めたキッカケなんて
こんな程度の想いからだったのか
それとも、死なない体を手に入れて
何かを企んでいたのか··
どちらにしても
不老不死なんてろくなもんじゃない
俺は··、この限りある命を
必死で生きて行きたいと思った
さて、それでは私はそろそろ戻りますね
っえ？！
っえ？！
···あ、いや··
い、今から帰るのは··夜中だし、危ないよ？
········
(いつもの事ですが··)
どうせ明日は一緒に叔父さんを探さなきゃだし··ね···？
········
わ、分かりました··
(よ、良かった···)
(お風呂··どうしようかな··)
···そういや、昼くらいから何も食ってなかったな
あっ！！
どうかした？
冷蔵庫の中身が戻っています！！
マジか！
やっと飯が食える···！
では、お風呂にでも入って来て下さい、その間に軽く作っておきま···
···♪～♪♪～♪♪♪～
～♪♪～♪♪～
っ！！！
っ！！！
でっ、電話ですよ！！
う、うん··
ピッ
もしもし···
