第128話 歌の力

文字数 979文字

 今日、学童で上級生が外遊びをしている間、私が一人で室内の新1年生を看ていた。すると、彼らがいつの間にか声を合わせて歌い出したので驚いた。初めは、ドキドキワクワク1年生♪とかいう歌だったのだが、そのうちに槇原敬之さんの「世界に一つだけの花」を歌い出したので、これまた驚いた。私が学童に勤めだして解ったのは「子供は大人が考えるほどに子供ではないし、大人は子供が考えるほどに大人ではない」という事実だ。「世界に一つだけの花」の歌詞をもちろん理解した上で彼・彼女らは歌っているのだ。「子供って凄いなあ」と思った。そういえば、私が教師をしていた頃も同じようなことがあった。私のそばで生徒が唱和しだすのだ。その時は「カントリーロード」など色々だった。山形の友人の車に乗せてもらった時も、車の中で娘さん二人が声を合わせて宇多田ヒカルさんの「花束を君に」を歌い出した事がある。何だか私には子供が歌い出したくなるような何か?があるのだろうか?それを感応というのか共鳴というのかわからないが、どうもそんなところが私にはあるようだ。人は何故歌い出したくなるのだろう?歌って何だろう?そういえばちょっと前にこんなニュースがあった。イギリスでテロの犠牲者を追悼していたら誰ともなくoasisの『Don look back in anger』を歌い出し、いつの間にかそれが全体に広がったというのだ。曲名は日本語訳すると「もう恨みっこなしさ」と言ったところか。確かに歌には何らかの力がある。それを科学的に証明するのは難しいが、確かに歌には力がある。リズムとメロディーに詩を合わせることで化学変化が起きる。そしてそれは感応、共鳴する。聞く人の心に浸透して広がって繋がってゆくのだ。突拍子もない事だが、もしかしたら新型コロナウイルスのような見えない敵に対してはこの「歌の力」が有効かもしれない。単純に考えても声を合わせて歌う事で免疫力が上がりそうだ。それだけでなく歌には「繋がる力」がある。      その辺りがウイルスに対して我々一人一人が連帯して当たらねばならないこの状況下に有用な気がするのだ。もっとも「歌う事で飛沫が飛ぶ」と言われればそれまでだが・・・。
 さて皆さんは最近歌っていますか?大きな声で歌えないなら鼻歌程度でもいいかもしれません。そこには何かしらの力が宿ると思うのです。
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