第4話 未来が来た
文字数 1,660文字
それは、わかってるんだけどな……。
振り返ると未来がいた。
弥生ちゃんは未来のクラスメート。
仲良しでいつも一緒に遊んでいる。
いつも仏頂面だけど、一段と仏頂面をしている。
恨めしそうに未来は言った。
中学に入るまでは私もスマホを持ってなかった。
両親の方針で、スマホは中学生から。しかもしっかりと親の目が光っている設定になっていた。
未来が怒ったような顔で私を見た。
未来が私をどけて椅子に座ろうとする。
どかないから。
私の方が未来よりも強いし(重いし)。
未来は私をどけるのを
決して私が重いわけではない。私は平均的な中2女子の体重だ。
未来が非力なだけだから。
私よりも体力はないがその代わり、未来の方が賢い。
ちょっとゲームをしすぎた。
先に根回ししてあったか。
それを言われると何も言えない。
未来は品行方正の優等生で私はそうでもない。
パソコンから聖くんを呼ぶ声。
思わず画面を見る。
久々、というかオープニング以来のアップ。
がっついてない感じもイイ!
おいしいけど、私も食べたいけど聖くんには似合わない気がする。
さっきチラッとこの男子がそう言っていたのが聞こえた。
ぽーっとしていた女子がおっとりとした感じで聞く。
彼は無邪気にそう言った。
屈託のない笑顔だった。
未来が隣に椅子を持ってきた。
そう言って椅子に座る。
そういう俗物的な言い方、やめてくんない?
改めて口で言うと恥ずかしい。
なんの情緒もなく、未来は言った。
もっとこう、なんと言うか……。
そうだ、それだ。
軽い感じでそう言って、未来も動画を見る。
そうだった。
あれ?
なんだっけ?
あ、そうだ。
ちょっとだけ未来が固まった。
そして二人で並んで恋ステを見た。