第1話 妹が見ていた動画を見てみたらイケメンがいた
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平日の昼下がり、家のドアを開けてそう言った。両親は共働きでいないけど、妹の
返事がない。昔は私が家に帰れば飛び出してきたのに……。あれもウザいけど返事がないのもどうかと思う。靴を脱いで家に入り、リビングを通って自分の部屋に行こうとした。
リビングの皆で使うテーブルに、電源が入ったお父さんのノートPCが置いてあった。
少し大きな声で言うが、どこからも返事がない。PCの画面がついている。この状態なら未来は近くにいるはずなのに。
返事がないからひとり言のようだ。
むなしい気分になりながらも、電源を落とそうとして画面を見た。
AbemaTVの動画が一時停止の状態になっていた。
友だちの
7は縁起がいいみたいな感じだけど、偶数ではなく、奇数にするあたりが悪意を感じる。あまった1人はどこかに入り込まなければならない。波乱の予感しかしない。
ライバルがいるほうが燃えるとは聞くけど、見ていて嫌な気分になる。恋愛は相手を一途に想っていなければダメなはず。
そう思いつつ、再生ボタンをクリックする。
小学生の未来がこういうものに興味を持つのはどうかと思う。私の方が見るべきだよね。
姉の私はきちんと注意しなければならない。でも、中身を確認せずに怒るのもどうかと思う。私は知りもしないのに頭ごなしに怒る大人とは違う。そのために見るのだ。私が見たい、わけではない。
控え目な笑顔……。
それまでクールな感じだったのに、笑うとかわいい。
シャットダウンはやめることにした。
改めて椅子に座り、ノートPCが自分の正面にくるように位置を直す。
未来を注意するためであって、私が見たいわけではない。
絶対に断じて。