(1)9月27日(金)午前11時
文字数 7,914文字
と、サクラが顔を舐めている。まだ眠たいと、相棒を手で払いのける。だが、執拗な「ぺろぺろ攻撃」は止まらない。耐えかねた
「へんな夢だった」
希空はそうつぶやくと、ズキズキする頭を押さえた。紛れもない二日酔いだ。あの不思議な夢を見たのも飲みすぎたせいだと反省した。サクラが遊んでと、希空の顔を円らな目で覗き込む。かわいくて、やっぱり最高の相棒だと思っていると、
「やっと起きましたね」
と、男の声がした。
「食事もしてないのに、ワインをガブ飲みするからですよ。水分取って、頭冷やした方がいいんじゃないですか?」と、明るい声音が続く。
そして希空は、その声に聞き覚えがあった。
恐る恐る顔をあげた希空の前には、白いシャツとスラックスの男が腕組みして立っていた。昨日、この男を見たのは、夢じゃなかったのか。だが、夢じゃないとすると何なのだ?一つだけわかったのは、酔っていたのが原因ではないということだ。
「いやあ、お会いできてホント、よかった!」
男は、腕組みをしていた両手を上にあげて伸びをしながら、ベッドに座っている希空に近づいてきた。
「アタシね、オバケや超能力とか信じないの」
と、手で男を制止するポーズをとりながら、希空は言っているのは自分に対してなのか、それとも幻覚の相手へなのか、わからなくなった。頭に浮かんだのは、知り合いに心療内科の先生、いたっけ?、だったが、そんな人物はいないと速攻で答えが見つかった。次に、あてはまる病名を思い浮かべながら、この場合まずはMRIか、と枕を抱え込んだ。
「ボクも信じられないんですよ。こんなふうに生きてる人と喋れるなんて。でも、よかった。さあ、起きてください。もうすぐ、お昼ですよ」
男は、希空の抱えている枕に手をかざすと、その物体がふわりと浮かんだが、希空には映像を見ているような感覚をもたらしただけだった。何が「でも、よかった」だ!いやはや、これは困ったことになった。
「アンタ、いつからここにいるの?」
自分の病状は深刻かもしれない。そう思いながらも希空は相手に聞いた。
「たぶん・・・」
男は少し間をおいて、
「ちょっと前から・・・だと思います」と答えた。
どれくらい前よ!と、突っ込みたくなったが、堪えて次の質問をした。
「アンタ、誰?」
男は暫く沈黙したのち、首をかしげて
「わかりません」と、考え込んだ。そこで、
「どっから来たの?」と違う質問を投げてみる。
それもわからないんですよね。と、溜息をつきながらも、今度は即答だ。
「幻覚のくせに記憶がないの?」希空が言い返す。
「それは、論理的な言い方ではないと思うなあ。で、オレに記憶があれば、あなたの幻覚なんですか?証明になっていませんよ」
と、男は優越感を漂わせて微笑んだ。
コイツ、幻覚のくせに口答えをする。希空はカチンときた。おまけに、一人称がオレとボクとが混在している。
「じゃ、何?アンタはオバケだっていうの?!」
ちっとも論理的でない応酬だ。
サクラが心配そうに自分と男を見ている。ということは、犬にもこの男が見えているのだろうか?当の男は、頬に手を当てて何かを考えている。男はモデルほどではないが均整のとれた体躯を持ち、イケメン俳優ほど顔立ちは華やかではないが、「さわやか」という、ひらがな表現がぴったりくるほど整っている。と、いうことはこれが幻覚なら、自分は欲求不満なのか。いやいや、頭をぶんぶん振って、希空はその考えを振り払った。
「オバケって、足がないでしょう?」
男は少し間をあけて思いついたように言った。え、そうなのか?と、希空が眉根を寄せる。
「でも、ボクにはありますからね」
確かにある。まあまあ長い足だ。いや、待て。そんなことじゃなくて、コイツが考えていたのは、この「自分はオバケじゃない」ということの証明(ボクには足があるイコール、だからオバケじゃない)を考えていたのか。自慢げに言うその態度に、さっきの整った顔立ちうんぬんの考えはどっかに行ってしまい、希空は瞬間沸騰、カチンの3乗になった。
「だったら、アンタは一体、何なのよ!」
憤慨した希空の形相に男が慌てた。その気迫に圧倒されながら、男は結論を出そうとする。そして、何かひらめいた様子でパッと顔を輝かせた。
「地上に降りてきた天使、ってとこでしょうか?」
あ、翼はないですけどね、と付け加えられて、希空は呆れて言い返す言葉が見つからなかった。たが、自分の幻覚にしちゃユーモアのセンスがある。ならば、「天使さん。悪いんだけど、とっとと天国に戻ってくれる?」
「そうしたいんだけど、できないんですよね」と、男がくすっ、と笑った。
イライラの最高潮に達した希空は、布団を引っ被って言った。
「あっち行って!」
3分が経過した。
被った布団から希空が窺うと、やはり、男は立っていた。だが、さっきと違って、ちょっと困った表情だ。
「ねえ、ちょっと、聞いていい?」
希空は、ベットから上半身を起こして言った。どうやら、この男が見えるという事実を受け入れる覚悟を決めたようだ。男が表情を明るくして次の質問を待っている。
「アタシ、昨日は酔っぱらってたけど、自分でここまで来た?」
ここまで、とは、希空が親指を下に向けたとおり、ベッドまでという意味だ。
「へべれけだったのでオレが運びましたよ」
待ってましたとばかりのドヤ顔だ。
「どうやって?」と、希空は腕組みして相手を睨んだ。
「こうやって」
男が手をかざすと、ベッドに座っている希空を柔らかなミルク色の光が包み、布団ごとふわりと空中に浮かんだ。マジックショーで美女が布をかけられて浮かんだいる、あの光景だ。サクラが吼えた。
「何?!降ろして!降ろして!」
理由がわからず、手足をばたつかせて希空が叫ぶ。
「ねぇ、すごいでしょう?こんなことできるのって、昨日、初めてわかったんですよ!」
男は自慢げに続ける。
「ね、すごいでしょ?」もう一度、繰り返すところが腹立たしい。
「降ろしてって、言ってんでしょ!」
男がつまらなさそうに手を降ろすと、希空の体がゆっくりとベッドの上に降りた。希空は思わず胸の前で両腕を交差させる。
「警戒しなくても大丈夫ですよ。昨日も言ったと思うんですけど、誰かに触ろうと思っても、すりぬけちゃうんですよ」ま、天使ですから、そんなことしませんけどね。と、付け加えて男は微笑んだ。希空は髪に手を突っ込んで激しく掻いた。もう、何がなんだかわからない!
「氷いります?頭冷やします?水飲みます?」
言葉を連発して、心配そうな表情の男が希空を覗き込む。何もいらないと希空は首を振った。アンタさえ、いなくなったらそれでいいのよ!
「あっ、そういえばオレ、喉が渇いたとか、おなかすいたとか、暑いとか、寒いとか感じないんですよ。これまた新しい発見だなぁ」
希空の心情など、これっぽっちもわかってない様子で男が楽しそうに言う。
「で、アンタ、いつから天使やってんの?」苛立ちながら希空が聞く。
男は思い出せないようだった。記憶喪失の天使なんて、聞いたことがない。希空は頭を抱えたまま、ドアに向って歩きだした。
「どこ行くんです?ごはん食べないんですか?」
男が聞いたが、返事はなかった。
※
希空はキッチンに入ると、冷蔵庫をあけて500mlのミネラルウォーターを取り出して、扉をあけたまま一気に飲んだ。大きな息をついたあと、もう1本を手にして、ダイニングテーブルに置いた。それから、キッチンカウンターにあったダンボールの中にあった、コーヒーメーカーとモカ・マタリの入った缶を取り出した。このコーヒー豆は、天草のジジイがもらったお中元のお下がりだ。そうじゃなきゃ、普通、こんな高い豆は買わない。
コーヒーメーカーをダイニングテーブルに置き、ミル付バスケットに豆を入れ、ペットボトルの冷えた水を入れてスタートボタンを押した。ミルが音を立てたと同時に、モカの少し甘くて芳ばしい香りが漂う。吸い込むと、緊張がほぐれていく。さあ、ぬるめのお風呂に入って、コーヒーを飲んで二日酔いを治そう。そうすれば、幻覚は消えるはずだ。希空は腕時計を外してテーブルに置くと、バスルームへ向かった。
※
ここのバスルームは気に入った。ゆったり体を伸ばせる浴槽で、ジャグジーまでついている。リラックスできそうだ。バスに湯を溜めているあいだに、洗面所においてあるダンボール箱から石鹸、シャンプー、バスソルト、バスタオルと基礎化粧品を取り出した。キャビネットに化粧水を入れようとあけると「アクア・ディ・パルマ」のラベルが貼られているアフターシェーブローションとシェービングマグとレザーのセットが置いてあった。シトラス系の香りがして高そうだが、希空の知らないブランドだ。どうやら、しっかりしているようで、うっかりな家主さんが忘れていったようだ。自分のは1本1000円前後の化粧水と乳液だが、気にせず横に置いた。シャワーを浴び、髪を洗い、バスソルトを入れた湯に浸かると、副交感神経がやっと優位になってきた。いつのまにか、幻覚のことなどすっかり忘れて、希空は「星に願いを」をハミングしだした。彼女のバスタイム定番曲だ。そのハミングが1曲目のラストに差し掛かったとき、
「ピー ピー ピー 」
警報音が聞こえてきた。
なんで?と、希空がバスタブの中で考えていると、続いて
「火事です!火事です!」緊迫感のある女性の声がした。
バスタブから飛び出した希空は、洗面所においていたバスタオルで体をまいて音がする方向へ急いだ。キッチンだ。コーヒーの香りがする。が、いつもと違い、ウール繊維の匂いが入り混じったものだ。慌ててリビングのドアを開けると水蒸気が上っていた。
「大変ですよ!コーヒーが床にこぼれて。絨毯がシミになっちゃう」
水蒸気の中から、ゆらりと男が現れた。やっぱり、まだいると希空が深い溜息をつくと、男が視線をそらして言った。
「そんな格好で出てくるとは思わなかった。風邪ひきますよ」
慌てた希空が、背を向けてバスタオルの端を胸の前で結び直し
「こんな格好で悪かったわね!こっち見ないでよ!」と、振り返って言うと、
はい、すみません、と謝った男があたふたと顔を背ける。
「なんで、アンタが気付かないのよ!」
突然、そう言われた男も困った。逆ギレとはこのことだ。
「オ、オレ、外にいてサクラと遊んでいたから・・・」男がしどろもどろになる。相棒が尻尾を振りながらやってきた。確かに彼女の足には泥がついている!
「外に出したら、足、拭かなきゃダメじゃん!床に傷がつくじゃん!」さらに希空はキレた。
「ホント、すみません」たじたじになった男は謝ったが、すぐにまじめな声で
「早く拭かないとシミになりますよ。この敷物、高そうだし」と目線を絨毯に移した。ダイニングテーブルからこぼれた茶色の液体は、床を伝わって絨毯まで流れている。
「ああ、でも、その前に着替えないと」と、男は、「あっ」と、また顔を背けた。
「だから、どっちにしたらいいのよ!」
男は、その勢いに押されて
「いや、だから・・・」と口ごもった。希空は舌打ちして、キッチンカウンターにおいてあったキッチンペーパーをものすごい勢いで引き裂き、床と絨毯の上に敷きつめる。ゴールデンレトリバーは嬉しそうに希空と男の間を行き来している。サクラの足は茶色の液体が溜まっている場所を躊躇なく踏むと、進行方向を絨毯へ変えた。
「動くな!シミになる!」
希空は叫ぶと、大急ぎて濡らしたキッチンペーパーで犬の足を拭き、着替えに2階へ走った。
※
ジーンズとTシャツを着た希空は、コーヒーに染まった絨毯を掃除するのにたっぷり1時間かけるハメになった。やはりシミになりそうだ。もう、これ以上どうしようもないと判断した希空は、ソファに倒れこんだ。疲れは限界だったが、疑問が浮かんだ。
「ねえ、どうしてこんなことになったのか教えてくれない?」
「カラフェが、はずれてたんですよ」
「カラフェ?」希空が眉間にシワを寄せた。
男はそんなことも知らないの、というようにガラス容器を指した。
「コーヒーの液体が落ちる耐熱ガラスの器ですよ」
すまして言うのが、希空の癪に障る。
「ああ、ビーカーのことね」
と、返した希空に、ぷっ、と吹き出した男が付け加えた。
「ビーカーは実験するとき使うものですよ」
ビーカーで何が悪い!学生のとき、新品ビーカーをくすねてアルコールランプで湯を沸かし、インスタントコーヒーを飲んだ経験がある希空は、敢えて無視を決め込んだ。そして、ソファから立ち上がるとコーヒーメーカーのスイッチを調べた。スイッチは切れている。頭を傾げた希空に、
「それはオレが切りました」
と、得意そうに男が言った。いちいちハラの立つヤツだ。
「アンタ、アタシの幻覚でしょ?なんで・・・」
「で・す・か・ら、」と、男はもう勘弁してほしいと言うような表情になった。
「ボクは実在するんです」
希空がまた頭を抱えた。一人称がボクに戻ったヤツは続けた。
「それにボク、結構いろんなことができることを発見しました」
希空は頭を抱えたまま、疑問の視線を男に投げる。
「物体を持ち上げるとか。あ、やってみましょうか?」男がにっこりしたので、希空は胸の前で腕を交差させて拒否のポーズをとった。その時、ふと考えが浮かんだ。自分が幻覚を見ていないことの証明ができるかもしれない。
「じゃあさ、そのビーカーを持ち上げてみてよ。スマホで撮ってみるから」
希空は、キッチンカウンターの上にあったスマホを取り上げると、カメラを起動させた。
「わかりました。撮ってください。カラフェを持ち上げますから」
カラフェと強調された希空は、もういいから早くやれと手で会図した。男が手をかざすと、フワリとガラスの物質が空中に浮いた。
「静かに降ろして」
希空がスマホを持ちながら、合図する。男は手を少し下に下ろすと、カラフェはテーブルの上に小さなガラス音をたてて着地した。男が希空をドヤ顔で見て言った。
「ついでに昨日どうやってあなたを運んだかも教えましょうか?」
希空は自分の体がフワリと浮きかけたので、慌ててブンブンと手を振った。
スマホの映像を確認すると、カラフェがまるで、特殊効果で編集されたように自らの意思で動いていた。この映像は自分の幻覚ではない、いや、そうと言い切れるのか?
「何回も言いますけど、あなたは正常ですよ」
男が言った。サクラも同意するように吼えた。彼女はめったなことでは吼えない。百歩譲って、この男は存在すると仮定したとしよう。では、いったいコイツはなんなんだ?パニックにも似た怒りが爆発した。そういえば、カラフェなんて自分の知らない名詞をコイツは知っている!
「これが、ワタシの幻覚じゃなきゃ、残るはただひとつ、やっぱり、アンタはユーレイだわ!これはポルターガイスト現象よ!」
何言ってんだろう、超常現象なんて信じない自分が。だが、この仮説が、今のところ一番、真実性があった。いや、あるのだろうか?と半分躊躇ったが、止まらなかった。もう、やぶれかぶれだ。
「何が天使よ!天使には羽があるのよ。アンタはユーレイだわ。死んだから、生きてたころの記憶がないのよ!とっとと、消えなさいよ!」
我に返ると、悲しそうな表情の男がソファのひじ掛けに座って希空を見ていた。「やっぱり、そう思いますよね?」
なぜか男が可哀そうに思えた。普通じゃ考えられないことだが。
「ごめんなさい、言い過ぎた」
希空が、ぽつりと言うと、男の表情が少しだけ明るくなった。
「そうそう、コレ」と、男は話題を変えるように、キッチンの調理台から男は腕時計を浮かせた。その物体は空中を移動し、希空の目の前で止った。
「スカイコクピット、避難させておきましたよ」
希空の時計は男性用のタフネスウォッチだ。
「あ、でもガラスの傷は最初からでしたよ」自分のせいじゃないと男はアピールする。希空は無言でベゼルに傷のついたGショックを手に取ると、ソファに腰かけた。
「それ、3代目でしょ?」男が、希空の左手首に装着された時計を指さした。
「なんで知ってるの?」
男が答えに困った表情になった。
「天使だから?」
希空がひじ掛けに座っている男を見上げて言った。
「そうです!」と男が大きく頷きながら答えた。希空は、ふとあることに気がついた。
「じゃあさ、こんなことできるんだったら、コーヒーこぼれた絨毯を拭くのも手伝えたんじゃないの?」
「あっ、そうでした! 気づきませんでした!」
意外とマヌケなんだ、と希空が鼻で笑った。
「あ、今、ちょっと笑いましたね?オレ、笑ってもらったの初めてじゃないですか?」
そうかもしれない。人に向かって笑ったのは久しぶりかも。あ、でもコイツは人じゃなかったか。
※
「マキハラノア。ノアは希望の『き』に『そら』って書くの」
相手に名乗ってしまってから、自分に気は確かか、と尋ねていた。だが、もう遅すぎるようだ。
「で、この相棒は・・」
「サクラでしょ?」男が嬉しそうに言うと、彼女が尻尾を強く振った。ああ、サクラのことはもう知ってるんですか。はいはい。で、
「アンタは?」
男は首を振った。
「わからないんです」
「記憶喪失の天使って、聞いたことがないけど」
すみません、と寂しそうに笑った男を見て希空は苦笑いした。しかたない。
「アンタ、ハネのない天使なんでしょ?クラレンスなんてどう?」
やっぱり、自分、どうかしている。コイツに名前をつけてようとしてるなんて。男が怪訝な表情になったので、ハネって、虫じゃああるまいし。とか、文句を言われるのかと希空は思ったが、男は違う質問をした。
「あのう、クラレンスってどっからつけたんですか?」
今度は希空が得意げに言った。
「知らなきゃ天使のモグリじゃない?『素晴らしき哉、人生』にでてくる翼のない天使よ」
男がクエスチョンマークを頭から出したかのように沈黙した。
「昔のハリウッド映画よ。ハネのない天使が自殺しようとしている男性を救う話。クリスマス時期に見る定番映画。今度、見せてあげる」
希空が肩甲骨を寄せ両手を閉じたり開いたりして、翼を自己流で再現しながら言うと、男がとりあえず頷いたが、
「クラレンスって・・・」と溜息をついた。案の定、気に入らない様子だ。外国風なのはダメだったか。じゃあ、
「天使に国籍があるかどうか知らないけど、アンタはとりあえず、日本人に見えるし、日本語をしゃべってるから、名前はクラノスケなんてどう?」と、希空が尋ねた。
「苗字は?」
男が期待して答えを待っている。よし、興味を持ってくれたようだ。
「山田はどう?日本ではポピュラーだし」
「山田クラノスケかあ。悪くないですね」
彼がにっこり笑った。
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