6・7・8・9・10・11・12・13・14頁

文字数 436文字



 ケーキ屋の女の子は、いつもお父さんとケンカをしていました。
「お父さんの作るダサいケーキなんて時代遅れなのよ」

 ケンカをすると女の子は、みどりちゃんの所へやって来ます。
「あたし、都会のお洒落なケーキ屋で働いて、
 カリスマパティシエになって、お父さんを見返してやるんだ」

 みどりちゃんは女の子の話を、じっと聞いてくれました。





 本屋のお兄さんは、この街が大嫌いでした。
 くすんだ街と埃っぽい店に、自分がどんどん埋もれて行く気がしていました。

「お前がこの街で一番フリーダムだな」





 酒場のお姉さんは、いつも寂しいと思っていました。
 知らない街、知らない習慣の人たちが、どうしても馴染めなくて怖かったのです。

 みどりちゃんに会う時が、お姉さんの唯一の安らぎでした。





 だんご屋の坊やは、この街に来た所でした。
 全然喋らない子供だと、だんご屋のお婆さんはボヤいていました。

 坊やが喋らなくても、みどりちゃんは静かに傍にいてくれました。





 みどりちゃんは誰にだって同じように優しかったです。






ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み