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文字数 436文字
ケーキ屋の女の子は、いつもお父さんとケンカをしていました。
「お父さんの作るダサいケーキなんて時代遅れなのよ」
ケンカをすると女の子は、みどりちゃんの所へやって来ます。
「あたし、都会のお洒落なケーキ屋で働いて、
カリスマパティシエになって、お父さんを見返してやるんだ」
みどりちゃんは女の子の話を、じっと聞いてくれました。
本屋のお兄さんは、この街が大嫌いでした。
くすんだ街と埃っぽい店に、自分がどんどん埋もれて行く気がしていました。
「お前がこの街で一番フリーダムだな」
酒場のお姉さんは、いつも寂しいと思っていました。
知らない街、知らない習慣の人たちが、どうしても馴染めなくて怖かったのです。
みどりちゃんに会う時が、お姉さんの唯一の安らぎでした。
だんご屋の坊やは、この街に来た所でした。
全然喋らない子供だと、だんご屋のお婆さんはボヤいていました。
坊やが喋らなくても、みどりちゃんは静かに傍にいてくれました。
みどりちゃんは誰にだって同じように優しかったです。
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