第5話

文字数 7,271文字

 そうして、俺とウェルギリウスさんは、第一のゾーンから下って行き、第二のゾーンに入った。あ、ごめん、急にゾーンとか言うても分からんわな。

 なんていうか、地獄はな、超巨大な巻貝を逆さまにしたような、谷?の中に複数の、全く雰囲気の異なるフロアが段々型に存在しててな。分かりやすいように第一のゾーン、第二のゾーンと呼ぶ事にするわ。イメージとしては、ほら、不思議のダンジョンとかのローグライクゲームでさ、ワンフロア下りたらまるっきり別の雰囲気っていう、現実では到底有りえへん構造のダンジョンが有るやろ?廃墟の次に海、そのまた次は山脈!みたいなな。そんな感じで、さっきまで居たフロアから下りて、また違う雰囲気の場所に来たっちゅうこっちゃ。

 そこはさっきのフロアより何やら圧迫感があって、それだけ苦痛の声も激しく聞こえてきた。実際に仕打ちが苛烈なのか、ただ音が反響してそう聞こえるのかは定かでないけど、俺は『またこういう場所か…』って気持ちでゲンナリしながらウェルギリウスさんについて行った。

 すると、そこにミノスのおっさんがおった。もうマジで、あのおっさんにはビビった。なんせ、特に理由もなく鬼のような形相(実際、誰もがイメージする地獄の鬼みたいな役割の人やねんけど)してはるし、謎にギリギリ歯軋りしてるし、常時ブチギレてるような感じやったからな。明らかヤバい人って感じ。

 まぁ、今思えばやけど、ここで仕事してる人らはこの陰気臭い場所で四六時中休み無し、延々とクズ人間を裁き続けなあかんわけやん。ストレスで平常を失ってても無理は無いわな。
 どうせ怒るんやから怒りっぱなしにしとくわってなもんで。イヤな仕事やろなーと思うわ。

 ミノスの仕事は裁判官みたいなもんやな。
 悪さした人の罪状を読み上げて、どんな刑に処するか判断するわけや。と言っても、ここに来てる時点で人生終わってる人らなわけやろ?いうたら、裁判で地獄行きになって、地獄でまた具体的にどう責苦を与えるのか裁判してるわけやん。いる?その細分化。どんだけ裁判すんねんって思うよな。一回でやれば怖いおっさん一人当たりの負担も軽減されるのに。

 ミノスには大蛇のような尻尾が生えてて、その尻尾を身体に巻いた回数で罪人の受ける刑とか、その他もろもろの事を決めるってなってた。
 最初は『え…、そんなんで決めんの?』って思ったけど、そもそも情状酌量の余地の無い悪人やし、なんせ数が多い。そんなわけで、一回辺りの慎重さが下がり、あんな手法になったんやと俺は予想してる。される方も異議申し立ては認められんし、黙って判決通りの裁きを受け入れるわけやからな。そら適当にもなるで。
 繰り返すけども、ここでもう一回ご丁寧に罪人を並べて、わざわざ裁判をして判決を下す必要性が分からんかった。

 俺はそんなミノスの仕事っぷりを見てた。
 ある極悪な亡者が、ミノスに何もかもを白状すると、人の悪さに造詣が深いミノスはそれがどれだけ悪い事か事細かに解説した上で、尾を自分の身体に巻きつけた。
 尾を巻いた数だけ、より深層の処罰フロアに堕ちる。つまり、下へ行くほど苛烈な責苦が用意されてるというわけやな。
 それにしても、何で口で言わずに自分の身体に尾を巻くなんて変態的な方法で堕とす階数を表現するのかは謎やんな。筋骨隆々で半裸髭面の怖いおっさんがやで、別の意味で地獄的な光景よ。
 とまぁ、そんな感じで罪人達はミノスに裁かれて、地獄の下層に堕ちて行った。

 怖いなぁと思って見てると、ミノスが尻尾ぐるぐる変態裁判を中断して、俺に言うた。
『おお、お前。お前は罪人とちがうな?見学か?誰の紹介か知らんが、邪魔せんといてくれよ!ワシは忙しいでのう!』

 問答無用で顔真っ赤にしてブチギレてるミノスは、ほんまヤカラのおっさんにしか見えへんかった。ふと思ったんやけど、この人らほんまに神に雇われてるんやとしたら、社員教育なってないよね?畏れ多いんやけど、素行の悪さハンパない思うんよ。今やから言うけど、罪人の方がマシちゃうかって思ってたもん。

 ウェルギリウスさんがこう言うた。
『そないに怒らんでもええやんか。ワシら別になんもしてへんやん。こいつが地獄の見学しとるのはな、神のお導きやねんで。いわば、お前のとこの親方に招待されとるわけやど。ややこしい事を言うたらあかん』
 ほんま、ウェルギリウスさんは頼りになる人やわ。

 ミノスのおった所を過ぎると、物凄い数の呻き声が絶え間なく聞こえる場所に辿り着いた。
 そこはマジで悲惨な所でな、希望なんて物はどこを探しても見当たらんかった。無数の亡者共の呻き声が嵐の日の海みたいに渦巻き、身を切るような冷たい風が亡者共の背中をぐいぐい押して、とうとう廃墟のような陰気臭い建物が有る所まで押しやった。

 不思議やった。亡者はその廃墟を見ると、なぜかブルブルと震えだし、感情が爆発するんや。絶叫し、泣き、しまいには引き裂くような声で神をボロクソに言うてた。さっきまで陰鬱な表情でめそめそしてたのに。廃墟を見た途端、突然やで。恐らく、亡者にしか見えん決定的な何かがそこに有ったのかもしれんけど、俺には何も分からんかった。とにかく、ヤバい廃墟やなと思った。あの辺は謎に包まれてるわ。危険過ぎる場所やで。

 この辺りになると、俺も『罪を犯す』とはどれぐらい悪い事なのかって事を理解し始めてたよ。うまく言葉では表せんけどな。なんせ、罪を犯すとこれだけ悲惨な目に遭う運命が待ってるんやと、分かり始めてた。

 ふと空を見たら、コウノトリが飛んでた。へ?なんでこんな所にこんな鳥がおんの?と思ってると、その近くを亡者の魂が飛んでたんや。

 その魂は、よく見ると飛んでたのではなくて、凶暴な黒い風に痛め付けられてたんや。
 例えるなら、金魚鉢の中の金魚をな、棒っきれで容赦なく掻き混ぜて、目を回し傷だらけにするのを楽しんでるかのような拷問。しかも延々と休み無く。希望ゼロ。永久に減刑ゼロ。それがその魂に与えられた責苦やったんや。

 ゾッとしたで。改めて辺りをよく見ると、亡霊達が『いやだ…殺してくれ…殺してくれ…』と、苦しみの声を洩らしながら、黒い風の責苦を受けるために列を作って順番待ちしてた。

 俺はウェルギリウスさんに聞いた。
『ウェルギリウスさん、あの黒い風の責苦は強烈ですね…。まるで子どもが虫ケラを無慈悲に痛ぶり殺すかのような、残酷な仕打ち。この人達はみんなあの地獄を味わうみたいですけど、同じ事をした人達なんですかね?同じ罰を同じ時に受けるって事は、何かしら関係有る人達なのかなって』

 ウェルギリウスさんはこう答えた。
『よう分かったな。あの魂達は、みんな淫乱罪で裁かれし者や。真面目くさった顔して、実は脳内ピンクのパッパラパー。偉い立場のくせしてエロい事ばっかり考え、状況や後先を考えず異性に手を出し、人に迷惑をかけたり、自らを破滅させた者達の末路や。
 よっしゃ一人一人解説したろ。先頭におるのが、乱交が好きで異文化乱交法という無茶苦茶な法律を作って合法化した女帝セミラミス。その後ろが、旦那が死んだから男作ろうとしたけどフラれ、それがショックで自殺したメンヘラ女。その次が、ご存じヤリマン女王のクレオパトラ。ヘレナもおるな、あの女せいで何人が無駄に命を落としたことか…、存在そのものが災いみたいな女や。
 男もおるぞ、アキレウス、パリス、トリスタン。彼らもみんな女絡みで死地に赴いたわけや。恋に恋して媚薬を常用しとった恋愛ジャンキーもおる。ここまでくると哀れで言葉も出てけえへんなぁ。あ、それからあれは…』

 ウェルギリウスさんの知識量は凄まじくて、幾千ものエロ魂をひとつひとつ、指をさしながら解説してくれた。
 それにしても、ウェルギリウスさんの解説を聞いて俺は言葉を失ったわ。確かに俺もエロい事を考える時あるし、そりゃスキよ。生き物やねんから当たり前やん。でも、国を巻き込んだり、命を脅かすような状況でそないな事しようなんて思う?普通。しかも、みんな何かしらの道のエリートっていうか、立場や格式ある家柄の人達やで?ぶっちゃけアホとちゃうかと思ったわ。ここまでくると逆に哀れやね。憐憫の情ってやつを抱いたわ。

 しかしや、そないにもエロい事を考えて人生を突っ走った人々の思想には興味も湧いた。なんか卑猥でえげつない思考回路してんちゃうかって思ってさ、エヘヘ。そこで、俺はウェルギリウスさんにこう言うたわけや。
『ウェルギリウスさん、愛に全てを捧げ、そして死んでいった者達に、僕は憐憫の情を抱かずにおれません。あっ、あの二つの魂は風に揺られて、何やら他のと雰囲気が違いますね?少し軽やかに見えるというか。男女やからカップルですかね?どないでしょ、あの二人に話しかけても構いませんか?僕、知りたいんです。愛深き故にその身を散らせた者達の事を』

 ウェルギリウスさんは頷いてこう言うてくれた。
『うむ、自分から積極的に学ぼうとするのは良いことや。お前も分かってきたな。ええで、こっち来た時に愛情を持って話しかけてみ。応えてくれると思うで』

 言い終えるやいなや、ぴゅーと風が吹いて、そのカップルの魂が俺の方に近付いてきた。願ったり叶ったりとはこの事やで。俺はしめしめとばかりに、愛に満ちた声色ってこんな感じカナと意識しながら作って話しかけた。

『もしもし、そこの愛を追い求めて苦しむ可哀想なお方達、どうかこの私ダンテに、あなた方の思い描く愛と、歩んだ人生について、詳しくお聞かせ願えませんか?』
 
 鳩は俺が近寄ったらすぐ逃げるけど、その魂達は俺の呼びかけに応じてくれた。淫乱罪の列を一時抜け出し、黒い風も俺とウェルギリウスさんの面会を許してくれたらしい。なかなか話せる黒い風。
 
 カップルの魂はそれぞれ、パウロとフランシスカと名乗った。彼氏彼女で淫乱罪とは、相当やなと思った。

 フランシスカが言った。
『なんか嬉しいわー、縁もゆかりも無いアタシらに面会してくれるとか。ありがとーなぁ。みんな、アタシもパウロ君も穢らわしいやつとか言うて、喋ってもくれへんのに。ええ人やな、ダンテ君。もし大宇宙の王が親友やったら、ダンテ君の事、絶対紹介してたとこやわ。あ、アタシらの話ね。ええよ、聞かせたがる。黒い風もOK出してくれてはるし、アタシらも誰かに聞いて欲しいもん』

 俺は思った。
 まてまて、大宇宙の王が親友やったらって何?と。揃って地獄に堕とされるようなカップルやから、思考回路がどうかしてるんやろうとは思ってたけど、ここまで妙な表現を用いてくるとは思わんかったな。変な女やなーと思って聞いてたわ。

 フランシスカは続けた。
『アタシは海のハタで生まれたんよ、ポー川って分かる?あの川が海に合流するとこの町の名家の娘よ。あ、そんなんどないでもええか。愛の物語についてやね。アタシ、家同士の戦略結婚でパウロ君のお兄ちゃんと結婚しとってん。しかも最初、パウロ君をパウロ君のお兄ちゃんやと思っててさ。
 だって、お見合いの代理人として、パウロ君が来てたんやもん。代理人ですとか説明無しにやで?ありえんやろ?普通にこの子やって思うやん?騙しやで、ほんまに。騙されてる事に結婚してから気づいたんよ。もう言うてもしゃあないから、何も言わんかったけどな。
 でもな、結婚して義理の弟になったパウロ君にもう惚れに惚れてしもうて。可愛いショタの義弟とか、たまらんやん?おまけに、パウロ君も、アタシに夢中やった。ほらアタシ、自分で言うのもナンやけど、めっちゃ可愛いやろ?肌も綺麗やし、胸もおっきいし。そんなアタシの魅力に夢中の可愛い義弟パウロ君に『ぼく…おねえちゃんがすき…だいすき…』とか言われてしもたら、もう我慢できんかった…。
 やから、二人で密かにめっちゃ熱く愛し合ってた。その現場をパウロ君のお兄ちゃん、つまりダンナに見つかって殺されてしもうたんよね…。アタシもパウロ君も。あの男、アタシとパウロ君を剣で滅多刺しにしながら『この変態共が!!』って…。別にええやんか!愛し合ってるんやから!ほんま悔しいわ…、せめて一回だけでも、ショタの義弟とベッドで…。あー悔しい…、死んでも死にきれんとはこの事やわ…。
 でも、こうして魂になってしもたけど、愛されたら倍にして愛し返すのがアタシの愛やから、パウロ君を愛するのはやめへんよ。パウロ君もやめへんのよね。
 そんなわけで、今もこうして地獄を彷徨いながら愛し愛されの無限ループしてる。まぁ、その愛が深過ぎて死んで地獄に堕ちる運命に陥ったんやけどね。なんせ、アタシらを殺したダンナや、詐欺まがいの見合いとか仕組んだ連中は絶対許さへん。必ず、地獄より地獄なとこに堕としたる』

 これが、この二人の愛と人生の見取り図らしい。
 俺は俯いたまま、何も言えんかった。なぜ?いやいや、普通に考えて、愛どころか狂気の物語やん。そもそもさ、不倫、それも旦那さんの弟て…。それで地獄に落ちても愛し愛されの無限ループとか言われてもな。『命懸けのNTR近親相姦でしたね』としか言えんやん。めちゃくちゃ怨みが深い事だけは、最後に声のトーンが急変した事で読み取れたけど、それもなぁ…。
 まぁ旦那さんも、何も殺す事はないやろとは思うけども、フランシスカを大事に思ってた故の怒りなんちゃうの?知らんけど。騙しや戦略結婚がどうのこうのは、当時からしたら極当たり前の事やしな。なんせ変態的やら恐ろしいやらで、俺はもう俯いて黙っとく事しかできひんかった。
 
 すると、沈黙に耐えかねたらしいウェルギリウスさんが『おい、どないしたんや…?せっかく話してくれたんやから、何か言わんかいな』と、俺に言うた。なんで俺に降るんすかって思ったけど、多分、ウェルギリウスさんほどの人でもコメントに困る内容やったんよな。

 俺は『ずる賢い大人達の思惑、そして二人の注意力の無さと特殊な性癖が、悲劇を生んだのでしょう』という言葉が頭に浮かんだけど、それを言うのは流石にマズイわな。あの状況でそんな事はよう言わんわ。そやから顔を両手で覆い、悲しみに打ちのめされたような感じでこう言うた。もうややこしいしそうするしか無かった。

『おお…!可哀想に…!なんて美しい、真実の愛の物語なんだ!この二人は、本物の愛で結ばれている。それなのに…それが故にこの地獄に堕ちてしまったとはっ…!なんという悲しい運命なんだっ!』

 一瞬、時が止まったようになった。どうやら俺のシバイはうまく行ったらしく、指の隙間から様子を伺うと、フランシスカもパウロもジワリと涙を浮かべてるのが見えた。感動しとったんや。
 俺はなんだか楽しくなってきて、こうなったら盛り上がるだけ盛り上げたれと思い、二人の方を向いて、バッと両手を広げて言った。
『フランシスカさん、パウロさん、あなた達の悩みと苦しみは、痛いほど僕の胸に届きました。涙が溢れるほどです。さぞ辛かったでしょう。ただ、もう一つだけ質問させて下さい。お二人が密かに会っていた時、どのようにその…、一線を越えてしまおうというお気持ちになったのですか?愛の神に許されたと感じたその瞬間と、キッカケを教えてはくれませんか』

 すると、フランシスカは涙を拭いて、遠くを見つめるような眼差しでこう言うた。
『幸せやったなぁ、あの時は…。幸福やった時の事を思い出したら、ほんまつらい気持ちなる。ウェルギリウスさんも、そう思うやろ?ホンマは言いたくないんやけど、でもダンテ君、あんたほんまに優しい子みたいやから、特別に教えたげるわ。アタシらのためにそんなに悲しんでくれて、ありがとうな。
 アタシとパウロ君はな、ランスロットがなんで愛を追い求めて死んでいったのか、本を読みながら語り合っててん。別に、パウロ君を食うたろとか、そんな下心はその時無かったんやで?純粋に二人でデートしてた。
 その時にな、やっぱ目が合うんやん。本読んでるのに目ばっかり合うんよ。恋の炎が燃え上がってしもて、字なんか全然目に入ってけえへんねん。でも、それでも何とか本を読もうとしてると、二人同時にある一節が目に入ってん。その文章があまりにもアタシらにピッタリの一文やってな。それを読んだ時、アタシはとうとう『もう我慢できひん…、パウロ君が欲しい…』ってなった。
 その一文はな、今でもハッキリ覚えてる。こう書いてた。「憧れた笑顔に最高の恋人がキスをする」もうこの瞬間やったな。二人の心が一つになったのは。アタシがパウロ君の最高の恋人なって、パウロ君がキスしてくれたんよ。最高のキス。唇を通して気持ちが繋がったって言うんかな?あんなん初めてやった。
 ああ…、義姉と義弟やのに…。あの「やっちゃった感」…、たまらんかったぁ…。キスがあんなにスゴイ物やなんて知らんかったわ…。あ、本の作者?ガレオットやった。その直後にダンナに見つかって刺し殺されたから、続きは読めてへんねんけど…』

 なんだそりゃ〜と思った、その時や。フランシスカとパウロの流した涙が、青いビームとなって俺を貫いたんや。原理は全く不明やねんけど、全身を駆け巡る悲しみ、哀憐の情。今までさほど可哀想とも思わんかったのに、そのビームを浴びることで、なぜか死ぬほど可哀想な気持ちになったんや。
 その可哀想さは想像を絶する凄まじいもので、俺の心臓は悲しみに握り潰されんばかりやった。いや冗談やなくて、ほんまに締め上げられてる感覚やった。『うっ!あかん、これはマジで死ぬ…』と思ったもん。心筋梗塞とかああいう感じなんかな?変なハナシやけど、俺はフランシスカとパウロが可哀想過ぎて意識を失ったんや。そしてそのまま死体のように地面にぶっ倒れてしまった。こうして俺は、本物の哀憐の情ってやつを知ったわけや。
 …と、ウェルギリウスさんが言ってた。俺自身はあんまり覚えてへんねん。なんせ気絶してるわけやからな。
 
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