セリフ詳細

どうかおまえたち、

あの大蛇の、真女子のことを悪く思わんでほしい。

すべては至らぬこの私のせいなのだ。

私は真女子を、あるいは救えたかもしれぬ。それなのに・・・・・・

真女子の愛より深きものに、以来私は出会うておらぬ。

穴は、私の中の穴は、いよいよ深うなってしまった。

真女子だけが、塞ぐことができたかもしれぬ穴だった・・・・・・

今でも時折、真女子のかおかたちが脳裏に浮かぶ。

忘れようとしても、どうにも忘れられぬ・・・・・・

私の命は、間もなく尽きよう。

最後にそれをおまえたちに語っておくことができて、よかった。

本当に、よかった・・・・・・

私は蛇性の婬とやらに、

ともに溺れるべきであったのやもしれぬな・・・・・・

作品タイトル:『雨月物語』蛇性の淫

エピソード名:第4話-完

作者名:アート‐ポイエーシス  art-poiesis

34|ホラー|完結|21話|20,667文字

雨月物語, 蛇性の淫, 上田秋成, 怪談, 江戸文学, ホラー

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江戸文学・怪異小説の最高峰『雨月物語』全9編より「蛇性の淫」をチャットノベル化!
ある雨の日、妖しくも美しい女が訪ねてきて・・・・・・