「わたし、この土地の神様なんです！」曇天の山頂に佇む少女はそう言った。
古代の神々の威光が斜陽にある日本では未曾有の豪雨災害が多発していた。万物の「過去」を視ることができる青年・維澄(いずみ)は進学を期に都会から田舎に出て平穏な日々を過ごしていたが、自然の力を操ることができるという守り神の少女・雫(しずく)に出会い、彼女の使命である鎮守の任を手伝うことになる。
生命たちの根源たる自然の存在を忘れてしまった現代社会で、自分たちを作り上げているモノについて問いかける。
──ただ、そう在りたい。ささやかな祈りのため人は命を駆る。