フリーライターの「私」が、酒の席で出会った「S氏」は、ありとあらゆる幸運と幸福を約束され、社会的に成功した人物として名高い。そのS氏がある日、自分の生い立ちについて語ってくれた。社会的成功者としての現在がどのようにもたらされたのか、その理由は、彼の話の中にこそ潜んでいた。誰も知らぬ、誰も関われぬその過去に。

竜が人を食べるテーマのアンソロジー『人喰い竜と腹の中の君』（20190217発行）に寄稿したものです。
薄暗いテイストの現代ファンタジー、内容に一般書籍レベルのグロテスク描写、性的描写を含みます。