第2話 西川さんの場合

文字数 480文字

 私の研究所で昔から働く『西川さん』と云う方が居ます。
彼はオン歳八十歳ですがホンダスーパーカブで研究所まで通って来ます。生来、左目が斜視で常に眼薬を持参、点眼しております。息子さんはまだ独身で働いているらしいのですが一銭も家には入れないそうです。西川さんの家には半年ほど前から、やはり八十歳の男性が居候(イソウロウ)しているそうです。
困り果てた西川さんは彼に生活保護を勧めたそうです。生活保護は認定されました。しかし、西川さんと離れたくないらしく、西川さんは居候氏のアパートを西川さんの家の近くに探してやったそうです。しかし、独食が寂しと元居候氏はたびたび西川さんを自分のアパートに呼ぶらしいのです。
そして最近、西川さんの墓に一緒に入りたいと、お願いするそうです。
その元居候だった方は自分の家族にも見放されているそうです。
西川さんは今日も、我が研究所の団地清掃の仕事に励んでいます。
その元居候だった方が昨夜は突然家に来て、塩辛のビンのキャップを開ける「ヤツ」を買って来てくれと頼まれたそうです。
ダイソーの百円ショップ。
西川さんは自分を哀れんでいます。
神に感謝。
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