第2話

文字数 5,351文字

友人は就職先が決まっていて来年の春から私は女子大生で友人は会社員だ。友人は大手の飲食チェーンの本社の事務の仕事をするみたいで、だから此処から結構遠い距離にある都市部の本社に近い街のアパートに引越しをして一人暮らしをするみたいだ。
私が好きな人と約一年間、同じ塾で受験勉強をしていた時に友人はパソコン教室に行きパソコンの使い方を学んでいてパソコンで会社の事務職に役立つ資格を複数取っていた。そして、友人は就職の面接の対策やパソコン以外の就職活動に必要な勉強もずっと一人でしたりして事務職として即戦力する為に必要とする事を全て必死になって努力し続けていた。
友人はその甲斐があり、見事に第一志望の会社の就職することが内定した。その後、私が大学受験に必死になっていた頃は友人とは学校の時以外は余り会わなかったけど、合格になり来年の春から女子大生になる事になり、久しぶりに私と友人は会えるようになった。
「こうして会えるのも懐かしいね。この一年間ぐらいは高校二年の時からパソコンの勉強を色々していたけど、自己流だから不安になってさ。正式に勉強したけど最初は慣れなかったから大変だったけど、それでも目標の為に努力をずっとしていたんだ。お互いこうして卒業後の祝福をできる日が来て良かった」
「私もこうして二人で遊びに行くのは懐かしいから幸せだと思うよ。そうだね。私もずっと勉強ばかりして大変だった。でも、凄いね。大手の飲食チェーンの本社の仕事が決まるなんて。そっか……格好いいな。でも、こうして会えるのも、もうじき終わるね」
そんな事を話しながら家電量販店で一緒に友人の必要な家電などを一緒に見に行って買うのはこの日ではないけど、もしどうしても欲しくなってしまった場合は店の店員に取り置きをしてもらい、後日、友人の家族が買ってくれると話してくれた。だから、今日は買い物をする為ではなく、遊びついでに家電をただ見に行くだけだ。
友人はもうノートパソコンはまだ去年、買ったばかりだし、セキュリティソフトも用意をしていた。後はアパートでネットをする準備をしてネットが出来る環境を整えればいい。更に友人はそれ以外で必要なのは安いテレビと安い炊飯器と安い電子レンジと安い冷蔵庫だ。そして、夏に一番、必要なエアコンはアパートに元々ついているようだ。友人は友人が引越しをするアパートは一応、浴室もあるけど、浴室は入りにくそうなので近所の銭湯があるからそこで休日は銭湯で入浴をするつもりだ。友人は更に出来れば出費がかさむので早めに恋人を見つけて深い仲になり同棲をして家賃を払わずに生活費だけ一部負担する事を期待して実際には同棲はせずに直ぐに結婚して安心してこのアパートを引っ越して生活基盤を安定させたいと期待していた。
今は色々、家電を揃えているけど、此処で買わない家電はその街に行って足りないものを新しく買えたら買うようだ。
家電量販店では色々な家電が見られるから買わなくても見るのが楽しみになる。特にテレビは高価な物は値段が一桁違うから驚くけど、でも、画質は物凄くいいし鮮明で奇麗だった。
「私には買えない商品だけど、でも、お金さえあれば買いたくなるよね。私は一番、安いテレビで十分だけども、こうして見るのは何となく楽しいな」
「私もそう思う。私の部屋ではネットで買った一番、安めのテレビだったけど、もう五年経つのに十分画面が映るし何不自由はないけど、高いテレビを見ると良いなと思う。私はどちらかというとパソコンが欲しいかな。今のスマホはまだ使えそうだし数年後には買い換えたい。後で他の家電も見たいね。私の家電ではないけど見るのはやはり楽しい」
そんな事を話しながら色々、先の不安よりも明るい感じになっている友人を見て私は余計な事を考えずに友人の門出を見送りたかった。
そして、テレビはまた今度、買う事にして次は冷蔵庫の売り場に向かった。
冷蔵庫は小さい割と有名なメーカーではない会社の小さい冷蔵庫が欲しくなり、でも、もう少し値引きをしてくれる店で今度は親と一緒に見に行って安いこの商品と同じ物を買う事にしたようだ。スマホで検索して評判のいいメーカーや商品を調べて買えるものは買おうとは思っていた。友人と一緒に家電を見ると私まで一人暮らしをするみたいで楽しかった。
炊飯器は安い物を中心に見て結局この場では家電を買わなかったけど楽しい時間を過ごせていた。友人は一人暮らしを始めてから炊飯器で米を炊いて後は軽い料理を作るようだ。
私と友人は高校時代の恋愛を話していた。同級生達との話もして憧れの相手や嫌いな相手の話もしていて、そこで友人が意外な男が好きだと話してくれた私は驚いた。
あまり目立たない男で私は好きではないけど嫌いではない感じだった。たまに挨拶はする時もあったけど、その男も挨拶は返してくれたし悪くはないけど、ただ恋愛対象にはならない男だった。でも、友人は将来、この男は絶対良い男になると言っていた。よく考えれば顔自体は結構よくて地味だから目立たないけど、そういえば同級生の一人がその男と付き合っていた。その同級生の女も地味なタイプだったけど。その女も良い女になるのかなと私は考えていた。友人はでも他の人と付き合っていたからどうしてもその男と付き合いたいとは思っていなかったと今、話してくれた。この先、その男が格好良い男になるという友人の予想が当たれば友人と美味しいステーキを食べようと思った。無論、私の奢りで。
しかし、私はその男の外見をもう既に思い出せなかった。
そして、これから腹ごしらえする事にして、私と友人は一緒に何か美味しいものを食べようかという事を話し合い、そこで私と友人は昔、私が友人や私の好きな人と出会う前に昔、まだ義務教育の半分過ぎた時に行ったイタリア料理店に行く事にした。この店は私が家族と食べた初めてのイタリア料理店で母親が私の将来の事を考えた時、この先、特にパスタを上手く音を立てないで味わうマナーを私に教える為に連れて行った店だ。
今、そんな友人の事ではなく私が他の事を考えた時に友人との会話が途切れた事を友人は少しだけ不満そうにしていた。そして、私が現実に戻ると直ぐに友人に「ごめんね」と軽く謝ると友人はまだ少し不服そうに私を眺めて、その後、すぐに軽く笑っていた。
「もう直ぐ、大人だね。どんな人達に出会えるか楽しみだね」
「私は外見よりも性格が合う人と出会いたい。友人は更に好きな人よりも性格が合う人がいい。好きな人は数年ぐらいで別れがきて会えなくなるけど、友人はこうして少なくても数年以上は長く会えそうだから。だから、ずっと楽しめるね。しかし、仕事か……私も大学を卒業したら辛い日々が続くんだね。でも、凄いね。もう就職する事を決めて。格好いいよ。来年からはもう社会人だし。唐突だけど結婚式には私を呼んでね」
「私の方こそ結婚式に行きたいよ。お互い幸せになりたいね。ドレスも一度は着てみたい」
そんな事をイタリア料理のチェーン店に行くまでずっと話していた。将来の私達の現実を考えていた話を。そして、店の前でふと私は昨日、漫画と小説を数冊ずつ買ったから残りが減っているかもしれないと何とか頭脳で計算をして残金を現金と電子マネーの両方を確認から大丈夫だと思って私達は店内に入った。久しぶりに此処に来たなと私は思った。
店に入り、若いバイトらしき女性が「いらっしゃいませ」と声を掛けて「何名様ですか?」と更に話し掛けてくれた。「二名です」と私は答えて、店員さんは店の奥のテーブル席に私と友人を案内してくれた。そこで私達はジャケットを脱いで注文をする前に少しだけ話をした。
「どうする?パスタはカルボナーラやナポリタンかボロネーゼかペペロンチーノとかあるけど迷うね。私が此処で食べる最初のパスタで恐らくまた来られないかもしれないから悔いなく飯を食べようと思ったから迷う。……ピザも悪くないね。どうしようかな」
「私も悩む。どれも美味しそう。迷うけど……ピザもいいけど……決めた。やっぱり私はボロネーゼにしようかな。一番、最初に此処で頼んだのがボロネーゼのパスタだから」
「いいね。美味しそう。私はナポリタンにする。綺麗な食べ方を教わったし酸味があるから食べやすそうだし。口が汚れないような食べ方を今、試したいから」
注文が決まり、二人は更に今後の話をしていた。
店内の雰囲気は暖かく、お洒落な雰囲気な店だ。白い壁に茶色い天井の色で空調機が回っていて外食店という雰囲気な店内だ。席は割と多く、今は五つのテーブル席にカップルや家族連れの客がいて、私達の年代の客はいなかった。
彼女は茶色い長袖のシャツを着ていて、髪はもう長い髪を切って短くしていた。化粧もすっかり上手くなっていて、もう既に大人の色気が出てきた気がした。私にはない雰囲気だった。今思うと私は友人が私の出会った親しい人の中で一番、信頼出来ていた。この頃はその親しい友人と頻繁に会えなくなるのが辛く思っていた。切なくて寂しい。そう思っていた。そして、この店に二人でいた時に私達はもう高校生様ではないんだなと改めて分かった気がした。
そして、注文したボロネーゼの方が先に届き、友人に「先に食べるよ」と告げて私は口元などを汚さないようにすすらないようにパスタを食べていて、その後、友人もボロネーゼが届いてから約三分後に届いたナポリタンを食べていた。
ボロネーゼは肉が美味しいしソースも美味しいし、麺がアルデンテで良かった。
そして、二人はしばらく、ずっとパスタを食べていて話をしないし、店内の雰囲気も気にせず、今、食べているパスタが美味しいという思いを私達は共有できた。
そして、二人共、パスタを食べ終えて二人共、マナーを守って食べ終えて良かったと考えついていた。店内が更に暖かくなった気がして腹も膨れて楽しかったと感じていた。
そんな二人は少しだけまた話をして新しいお客が来るまで座っていたけど、スマホのアプリで予約したカップルらしい二人が来た時に私達は席を立つ事にして割り勘で会計を済ませて店内を出る事にした。
店を出て、もうそろそろ私達は一日が終わり、帰らなくてはいけない時間になった。
「美味しかったね。ナポリタンを食べても綺麗に食べられて良かった。もう直ぐ、私も新しい生活が待っているし。不安だけど何とかなれそうな気がして良かったよ。またこうして色々、食事したり話をしたりしたいな。青春の最後の日になりそうで良かった。ありがとうね。本当に今日は楽しめた。今度はお互いの新しい好きな人とかの話をしようね」
「私こそありがとう。そうだね。私も大学に行ってから友人や新しい好きな人が見つかるかもしれないけど、それでも、一緒に会える日が来たら新しい場所での話が出来たらいいなと思う。お互い良い出会いがあるといいね。不安と楽しみが混ざっている気がする」
そうして、その店を出てからその店の傍で、最後にスマホで写真を一緒に撮って寂しい気分のままでお別れの挨拶をして私は少しだけ友人を見送ってから此処を去る事にした。
そして、私は先程、自宅に戻り手を洗ってから直ぐに自室に入ってベッドに寝ころんで天井を見ていた。そして、ふと、一日を振り返り、しばらくはずっと友人の事を考えて、その後、私はぼんやりとしていた時に自分の家族の事などを思っていた。
私が昔、授業を初めてサボって自由になれた旅行を終えた後、その時、家族は凄く怒っていたけど、でも、それが私を大切にしてくるという証だ。
だけど、私は家族を一番、大切だとは考えているけど、しかし、家族が私に対する愛情よりは強くない。きっと家族の中で一番、私が冷たいのだろうなとは思案していた。
でも、この先も私は家族に色々、お世話になるし、出来る限りでは家族に対して軽く助けになれればいいとは考えていた。
それでも、身勝手な私は本当の優しさを抱くのは大分かかる気がしていた。
私が今後、結婚したとして、その後、無事出産した時、その子供が私よりは温かい人になって欲しいなとは今から考えていた。しかし、私は今、子供を産むかは分からないけど、何時か私が完全に大人になったら今よりは温かい人になりたいとは思っている。子供を産むだけが女の生き方ではないけど、でも、出来れば結婚をするのが少しだけ良いなと思うし、その後、出産するのも良いなとは思う。しかし、今は子供を産む事は全く真剣には考えてはいない。そして、出来れば嫌なこともあるけど、でも、この先、女子大生になっても今よりも青春を謳歌して、もし出来れば大学を卒業して社会人になったとしても、その後も、食い扶持を稼ぐのは辛いけど、でも、たまに大人の良い思いも堪能して生きて行きたい。
そして、今度は定年退職をした後で初めて高校をサボって家族に知らせずに旅行した時と同じ場所に行って今度は長い時間、旅行に行きたい。
今日は雨が降る日だったはずだけど晴れていたから幸運だなと思った。
しかし、明日は少し憂鬱な雨天らしい。
私は高校生活の前までずっと心細かったけど、でも、特に問題はなく十分楽しかった高校時代より、これからの新生活が良ければ良いなと素直に思考していた。



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