雨天相見
文字数 3,965文字
「はあ、コワイモノ、か。どうしたの突然、君達らしくもないねえ。まったくもう、そんなに先輩の弱点を知りたいの。俺の怖いものなんて、大したもんじゃないよ。ま、ないわけじゃないけどね? そんなに長くないし、つまらないと思うけどなあ。それでもいいなら話そうかな」
「俺が怖いのは、――『母親』だよ。あ、ちょっと待って、そんな顔しないでよ、ギャグ落ちじゃないから。俺の家の話じゃないし。まあ、もちろん俺の母さんが怖いのは否定しないけど。しつこいセールスマンを引っ叩くは、酒を盗み飲みした父さんを外に蹴り出すは、一言を言えば十個は返ってくるし、まず言いわけなんか聞いてくれないんだ、怖いったらありゃしない」
「君たちの家はどうなのかな――そうか、いいね。でも、俺が今言いたいのはそういう意味じゃないんだ。言い換えれば、【女人】になるのかな。女性が母親になるっていうのは、途方も無く、恐ろしいことだと思うんだ」
「――そんな顔してないでほしいなあ。……ま、うん、俺だって多少どうだろとは思っているよ。でも、怖いでしょ、女人の存在は。たくましい女子プレロス選手だろうがクールなキャリアウーマンだろうが新聞部の姦し娘っ子だろうが、どんな女でもいつかは母親になるんだよ。……ほら、怖いでしょ? あはは、ごめん、君の彼女を悪く言うつもりはないんだけど」
ー―その年の夏は纏まった休みが取れて、黄桜梅園 は久しぶりに実家に帰っていた。家業を手伝うつもりで、そしたら案の定、かなり遠い所に使いに出された。
遠いといっても、午前七時ごろに出たら昼過ぎには帰ってこられるくらいの距離だから、今考えてみればそう遠い場所じゃない。いつもの得意先ではなかったから、そう思ったのかもしれない。それを荷台に積んで。
雲行きがかなり怪しかったから、速度を下げずに土砂降りになるギリギリに目的の屋敷に運び終わった。
「ほら、夏は天気が変わりやすいでしょ? 大きな雲が集まったら、すぐにゲリラ作戦のように降ってくるーーまあ、無事届けたからいいかと安心したよ。なんていったって、薪だよ? ちょっと割れたりすることは仕方がないとして、濡れてしまったらシャレにならないから」
届け先の相手は親切な人で、雨宿りしていきなさいと言ってくれた。その時はどうしてか、一分でも早く帰りたくて仕方が無かった。休みといっても、そう長くもないし、雨でゆっくりできないのも癪だ。こころなしか軽くなったバイクに跨って急いで家路についた。
「ーー帰り道は、土砂降りなんてものじゃなかったな。まるで、滝の中に入ったかのような勢いだった。景色はもう全てぼんやりしてて、目の前は一面青っぽい灰色に囲まれて、もちろん辺りの畦や畑にも人っ子一人いやしないの。その中をーー俺一人、バイクでを走ってる。雨音以外の音を、全部俺が出してる。それだけでも、ちょっとぞっとしなかったな」
さすがにこれ以上の走行は危険と判断し、村と墓地に続く分かれ道に立っている、割と大きな木の下でバイクから下りて、雨宿りをした。
「夏だから葉っぱはこんもり茂っているし、松の木と違ってデカイから、雨粒もあんまり降ってこないんだよ。座り込んだときは心底ほっとしたなあ」
そして。
ふっと横見たら、女の人が近くに立っていた。
「そりゃ、驚いたよ。外はバケツを引っくり返したような大雨で、もちろん誰も外に出ていやしなかった。俺はずっとブッ飛ばしてきたから、俺が来た道からは誰も来てないことを知っていたし。なのに、全然、全くだよ。その女の人がいつからそこに来ていたのか、わからなかったんだ」
梅園は驚いて、挨拶もできなかった。でも、その女の人は、自分のことなどどうでもいい風だった。ただぼんやり、そこに立っていた。
「そうだな、綺麗な人だったと思うよ。……といっても、あんまり憶えちゃいないけど。後のことで印象がぶっとんでんだよねえ」
真っ黒な髪は長いのに結われておらず、白いブラウスも赤いスカートもペタンってなっていた。頭から爪先まで全部ずぶ濡れで……。
「でも不思議と、ビビったけど怖いとは思わなかった。でも妙に気まずくてーー俺、こんな性格もんだから。つい、話しかけちゃったんだよな」
そうしたら、女の人は、首を動かしてぼんやり目をふっと梅園に向けた。ひどく儚げで、今にも涙がこぼれ落ちそうな、そんな目だった。
「惚れた、ってーーちょっと、すぐそっちへもって行かないの、君達は女子高生か! 全く、確かに俺はどちらかというと年上好きなほうだよ? いつもそんなムラムラ起こすわけないでしょ。そりゃあ、男だから、少しドキッとはしたかもしれないけど? でもそのとき、俺は高校に入ったばかりのガキンチョなんだよ。とにかく、ブサイクじゃなかったっていうのは保証するけね」
その女の人は少し首を動かして梅園を見ると、少し笑った。
ーーさっきまで、すぐ隣に人がいるなんてわからないものみたいに振る舞っていたのに、どうして。
「よく降るねえ」
「雨宿りですか」
彼女は、少し間延びしたみたいな高い声で喋った。
「――そこ、それ以外にあるのかとか言わないでよ。ドーモコンニチハとは言える感じじゃなかったんだよ」
女の人は空を見上げた。
「坊やがそのあたりにいないか見ているの」
坊やというからには、当然彼女の子供だろうと思った。
「迷子ですか」
「ーーずっと探してるんだけど、どこにもいないの」
悲しそうな目で、とても辛そう声だった。それと同時に、ゾっとしたよ。滝みたいな雨の中を、子供が一人でウロウロしているなんて、想像するだけでも背筋が冷たくなる。近くには川だってある。それで、大雨で増水しているだろう。土砂崩れだって、起きていないとは言い切れない。梅園は慌てて、俺も探しますって申し出たんだ。そうしたら、
「ーーいいえ、いいのよ」
諦めたように女の人は肩を落とした。梅園はつい、かっとなって、まくしたててしまったんだ。
「ーー諦めなさんな。ーー俺も探すから、こどもをひとりにしたら可哀想だ」
「……今考えたら、なんて無責任で無知だったんだろうって思うよ。何の事情も知らない、それこそ見ず知らずのガキがアホなことを云っちゃったもんだよ。でも、悲しいじゃないか。子どもなんて、小さいうちは親が全てじゃないか。もし泣いていたり、寂しがったりしていたら、可哀想すぎる。……ああこれ、アイツには言わないでね。俺、一度それで偽善者だって云われたことあるから。自覚はあるけどさあ……やっぱり手前の主観なんてそう簡単に変えられるもんじゃないでしょ」
女の人はやはり、困ったみたいにうつむいてしまった。
「ーーそうね」
「私の坊や」
しばらく経って、彼女は怒るでも泣くでもなく、納得したように呟いた。
「ーーあの子が待ってるんだもの、早く行ってやらなくちゃねえ」
梅園はその時、彼女の顔を見てぞっとしたんだ。彼女の目はもう自分を映してなかった。ただただ、ずっと遠くの景色を見ていた。
雨で霞んだ山の向こうに。暗い森の向こうに。誰もいない、道の果てに。
「ーーどこにいるのかな、私の坊や」
その【私の坊や】ってものがいるって、信じきっている目で。
半分寝てるような、今にも泣き出しそうな、そんな変な声。
「ーーどこにもいない。いろんなところを探したのに、まだ見つからなくてねえ。ーーこんな、雨の日に、いなくなってしまったのーー雨がやめば、還ってくるのかねえ」
梅園は、もう声を出せる状態ではなかった。
怖かった。危険を感じるのと違う。ホームから突き飛ばされたとか、冬の倉庫に閉じ込められたとか、キチガイに追っかけられたとか、火炎瓶投げつけられたとか、そういう恐ろしさじゃなくて。
純粋に、怖くなった。さっきまでそんなこと、全然思わなかったのに。
女の人は木陰からふらふら出ていって、空を見上げた。雨は治まるどころか余計に強くなったようで、もう雨の音以外に何も聞こえなかった。でも。
「ーーもう百年経つのに、ずっと探しているのに、逢えないの」
その言葉だけは、いやにはっきり聞こえた。女の人はゆっくりとした覚束ない足取りで自分が来た道を歩いて行く。
「ーー百年、だよ。百年も子どもを探し続けるなんてーー母親ぐらいにしかできないよね」
それにとっくの昔に彼女の坊やだって、事故だか事件だか、もう死んでいるに決まっている。もちろんあの女の人だって、人の寿命を終えているだろう。梅園は合点がいった。それでも恋しい【坊や】を諦めきれなくて、ああして雨の日には現れて、探しているんのかと。
「これが全てじゃないし、だからというわけではないけどね。俺は心底【女人】が恐ろしいんだ。怪談の半分が女人である理由の一端を知った気がした」
「いやね、悪いとか良いとかの話じゃないんだよ。女と男は、根本的に違うでしょ。癖とか理由とか思考とか体験を抜きにしても、まるきり違うと、云ってもいいかもしれない。女人の事は、理解できない。怖いくらいの――情の、深さが。――だから俺は恐ろしいと思う。女人がいつかなるであろう、母親と云う【いきもの】が、ね」
「以上、これが、俺のコワイモノ。満足は、してもらえたみたいだね。はは、顔が硬直してるよー? それじゃそろそろ帰っていいかな。――うん、まだ片付け終わってないんだ。うん? いいよいいよ、後は埋めちゃうだけだし」
「ーーそういえば、今日も夕方から雨だったっけ? あの人、まだ、【坊や】を探しているのかな」
「俺が怖いのは、――『母親』だよ。あ、ちょっと待って、そんな顔しないでよ、ギャグ落ちじゃないから。俺の家の話じゃないし。まあ、もちろん俺の母さんが怖いのは否定しないけど。しつこいセールスマンを引っ叩くは、酒を盗み飲みした父さんを外に蹴り出すは、一言を言えば十個は返ってくるし、まず言いわけなんか聞いてくれないんだ、怖いったらありゃしない」
「君たちの家はどうなのかな――そうか、いいね。でも、俺が今言いたいのはそういう意味じゃないんだ。言い換えれば、【女人】になるのかな。女性が母親になるっていうのは、途方も無く、恐ろしいことだと思うんだ」
「――そんな顔してないでほしいなあ。……ま、うん、俺だって多少どうだろとは思っているよ。でも、怖いでしょ、女人の存在は。たくましい女子プレロス選手だろうがクールなキャリアウーマンだろうが新聞部の姦し娘っ子だろうが、どんな女でもいつかは母親になるんだよ。……ほら、怖いでしょ? あはは、ごめん、君の彼女を悪く言うつもりはないんだけど」
ー―その年の夏は纏まった休みが取れて、
遠いといっても、午前七時ごろに出たら昼過ぎには帰ってこられるくらいの距離だから、今考えてみればそう遠い場所じゃない。いつもの得意先ではなかったから、そう思ったのかもしれない。それを荷台に積んで。
雲行きがかなり怪しかったから、速度を下げずに土砂降りになるギリギリに目的の屋敷に運び終わった。
「ほら、夏は天気が変わりやすいでしょ? 大きな雲が集まったら、すぐにゲリラ作戦のように降ってくるーーまあ、無事届けたからいいかと安心したよ。なんていったって、薪だよ? ちょっと割れたりすることは仕方がないとして、濡れてしまったらシャレにならないから」
届け先の相手は親切な人で、雨宿りしていきなさいと言ってくれた。その時はどうしてか、一分でも早く帰りたくて仕方が無かった。休みといっても、そう長くもないし、雨でゆっくりできないのも癪だ。こころなしか軽くなったバイクに跨って急いで家路についた。
「ーー帰り道は、土砂降りなんてものじゃなかったな。まるで、滝の中に入ったかのような勢いだった。景色はもう全てぼんやりしてて、目の前は一面青っぽい灰色に囲まれて、もちろん辺りの畦や畑にも人っ子一人いやしないの。その中をーー俺一人、バイクでを走ってる。雨音以外の音を、全部俺が出してる。それだけでも、ちょっとぞっとしなかったな」
さすがにこれ以上の走行は危険と判断し、村と墓地に続く分かれ道に立っている、割と大きな木の下でバイクから下りて、雨宿りをした。
「夏だから葉っぱはこんもり茂っているし、松の木と違ってデカイから、雨粒もあんまり降ってこないんだよ。座り込んだときは心底ほっとしたなあ」
そして。
ふっと横見たら、女の人が近くに立っていた。
「そりゃ、驚いたよ。外はバケツを引っくり返したような大雨で、もちろん誰も外に出ていやしなかった。俺はずっとブッ飛ばしてきたから、俺が来た道からは誰も来てないことを知っていたし。なのに、全然、全くだよ。その女の人がいつからそこに来ていたのか、わからなかったんだ」
梅園は驚いて、挨拶もできなかった。でも、その女の人は、自分のことなどどうでもいい風だった。ただぼんやり、そこに立っていた。
「そうだな、綺麗な人だったと思うよ。……といっても、あんまり憶えちゃいないけど。後のことで印象がぶっとんでんだよねえ」
真っ黒な髪は長いのに結われておらず、白いブラウスも赤いスカートもペタンってなっていた。頭から爪先まで全部ずぶ濡れで……。
「でも不思議と、ビビったけど怖いとは思わなかった。でも妙に気まずくてーー俺、こんな性格もんだから。つい、話しかけちゃったんだよな」
そうしたら、女の人は、首を動かしてぼんやり目をふっと梅園に向けた。ひどく儚げで、今にも涙がこぼれ落ちそうな、そんな目だった。
「惚れた、ってーーちょっと、すぐそっちへもって行かないの、君達は女子高生か! 全く、確かに俺はどちらかというと年上好きなほうだよ? いつもそんなムラムラ起こすわけないでしょ。そりゃあ、男だから、少しドキッとはしたかもしれないけど? でもそのとき、俺は高校に入ったばかりのガキンチョなんだよ。とにかく、ブサイクじゃなかったっていうのは保証するけね」
その女の人は少し首を動かして梅園を見ると、少し笑った。
ーーさっきまで、すぐ隣に人がいるなんてわからないものみたいに振る舞っていたのに、どうして。
「よく降るねえ」
「雨宿りですか」
彼女は、少し間延びしたみたいな高い声で喋った。
「――そこ、それ以外にあるのかとか言わないでよ。ドーモコンニチハとは言える感じじゃなかったんだよ」
女の人は空を見上げた。
「坊やがそのあたりにいないか見ているの」
坊やというからには、当然彼女の子供だろうと思った。
「迷子ですか」
「ーーずっと探してるんだけど、どこにもいないの」
悲しそうな目で、とても辛そう声だった。それと同時に、ゾっとしたよ。滝みたいな雨の中を、子供が一人でウロウロしているなんて、想像するだけでも背筋が冷たくなる。近くには川だってある。それで、大雨で増水しているだろう。土砂崩れだって、起きていないとは言い切れない。梅園は慌てて、俺も探しますって申し出たんだ。そうしたら、
「ーーいいえ、いいのよ」
諦めたように女の人は肩を落とした。梅園はつい、かっとなって、まくしたててしまったんだ。
「ーー諦めなさんな。ーー俺も探すから、こどもをひとりにしたら可哀想だ」
「……今考えたら、なんて無責任で無知だったんだろうって思うよ。何の事情も知らない、それこそ見ず知らずのガキがアホなことを云っちゃったもんだよ。でも、悲しいじゃないか。子どもなんて、小さいうちは親が全てじゃないか。もし泣いていたり、寂しがったりしていたら、可哀想すぎる。……ああこれ、アイツには言わないでね。俺、一度それで偽善者だって云われたことあるから。自覚はあるけどさあ……やっぱり手前の主観なんてそう簡単に変えられるもんじゃないでしょ」
女の人はやはり、困ったみたいにうつむいてしまった。
「ーーそうね」
「私の坊や」
しばらく経って、彼女は怒るでも泣くでもなく、納得したように呟いた。
「ーーあの子が待ってるんだもの、早く行ってやらなくちゃねえ」
梅園はその時、彼女の顔を見てぞっとしたんだ。彼女の目はもう自分を映してなかった。ただただ、ずっと遠くの景色を見ていた。
雨で霞んだ山の向こうに。暗い森の向こうに。誰もいない、道の果てに。
「ーーどこにいるのかな、私の坊や」
その【私の坊や】ってものがいるって、信じきっている目で。
半分寝てるような、今にも泣き出しそうな、そんな変な声。
「ーーどこにもいない。いろんなところを探したのに、まだ見つからなくてねえ。ーーこんな、雨の日に、いなくなってしまったのーー雨がやめば、還ってくるのかねえ」
梅園は、もう声を出せる状態ではなかった。
怖かった。危険を感じるのと違う。ホームから突き飛ばされたとか、冬の倉庫に閉じ込められたとか、キチガイに追っかけられたとか、火炎瓶投げつけられたとか、そういう恐ろしさじゃなくて。
純粋に、怖くなった。さっきまでそんなこと、全然思わなかったのに。
女の人は木陰からふらふら出ていって、空を見上げた。雨は治まるどころか余計に強くなったようで、もう雨の音以外に何も聞こえなかった。でも。
「ーーもう百年経つのに、ずっと探しているのに、逢えないの」
その言葉だけは、いやにはっきり聞こえた。女の人はゆっくりとした覚束ない足取りで自分が来た道を歩いて行く。
「ーー百年、だよ。百年も子どもを探し続けるなんてーー母親ぐらいにしかできないよね」
それにとっくの昔に彼女の坊やだって、事故だか事件だか、もう死んでいるに決まっている。もちろんあの女の人だって、人の寿命を終えているだろう。梅園は合点がいった。それでも恋しい【坊や】を諦めきれなくて、ああして雨の日には現れて、探しているんのかと。
「これが全てじゃないし、だからというわけではないけどね。俺は心底【女人】が恐ろしいんだ。怪談の半分が女人である理由の一端を知った気がした」
「いやね、悪いとか良いとかの話じゃないんだよ。女と男は、根本的に違うでしょ。癖とか理由とか思考とか体験を抜きにしても、まるきり違うと、云ってもいいかもしれない。女人の事は、理解できない。怖いくらいの――情の、深さが。――だから俺は恐ろしいと思う。女人がいつかなるであろう、母親と云う【いきもの】が、ね」
「以上、これが、俺のコワイモノ。満足は、してもらえたみたいだね。はは、顔が硬直してるよー? それじゃそろそろ帰っていいかな。――うん、まだ片付け終わってないんだ。うん? いいよいいよ、後は埋めちゃうだけだし」
「ーーそういえば、今日も夕方から雨だったっけ? あの人、まだ、【坊や】を探しているのかな」