第2話 異世界へようこそ
文字数 1,568文字
完全に防ぎ切ることは出来ずに肩に切り傷ができていたが、それよりも自分の行った行為に驚いてしまう。アニメが再現された夢なので、私も魔法が使えてしまったようだ。
だが、今度は自分の意志でフランツの身体にバリアを張る。先程と同じように完全に防ぎ切ることはできなかったようだが、それでもフランツは致命傷は免れたようだ。フランツも負けじと攻撃を行うが、その攻撃は避けられてしまう。しかし、突然現れた私を脅威と考えたのか、魔物は素早い動きでその場から逃げ出していった。
フランツが思わず追いかけようと走りかけるが、ぐらりとその身体が揺れる。私は慌てて彼の身体を受け止めた。
なんとか意識は保っているものの、身体中に魔物から受けた切り傷があり、もはや立っていることすら辛いようであった。
私に感謝の言葉を述べつつ、フランツは振り返って仲間たちのもとへと駆け出した。まだ傷は治りきっていないはずだが、そんなことよりも仲間のことを気にかけたのだろう。私も後に続く。二人は魔物の攻撃で意識を失っていたようだが、フランツの必死の声かけに目を覚ました。私は二人にもヒールをかけてやり、傷を癒やした。
二人は揃って同じ疑問を口にする。フランツも同じことを思っていたらしく、こちらに注目してくる。
私の言葉に当然二人は納得せず、フランツに私が現れた状況を説明する。
良い人止まりの非モテ人生で妻も子どももいない私には異世界に来て困ることはないものの、あんな魔物が現れる世界で生きていく自信もない。そういう意味では結構困る。
リカードはそう言いながら、私に抱きついてくる。リカードはかなり人懐っこい性格らしい。思わず抱きしめ返して頭を撫でてしまう。
フランツは深々と頭を下げながら、レイも目線を明後日の方向に向けながらもそう言ってくれる。なにこれ、偶然とはいえ命の恩人だからショタたちに大切にされてる? それはかなりポイント高いんですけど!