第1話

文字数 471文字

目が覚めると列車の中にいた。空は明るい青空で今向かっている場所はとても心地の良いところなんだなと思った。
ふと昨日みた花火を思い出した。初めは小さい控えめな大きさの花火が次第に色が増え大きな大輪となって咲いていく。クライマックスの一際大きい柳花火はまるで目の前で打ち上げられたのかと思うほど迫力があり、その感動を忘れたくないなと強く、強く思った。
不意に見えたその時の君のぼうっとした顔は初めて美しいものを見たような純粋さを秘めていた。きっと君には世界の全てが何かしらのきたない部分を持っているように普段は見えているんだろう。各言う君も決して綺麗な訳では無いのに君はどうして純粋な綺麗なままであり続けるものを探し求めてしまったんだろうね。
まだ少しあの花火の火薬の匂いが服に残っていた。
昨日という思い出をちょっと思い出しただけでなんだか涙が込み上げてきた。
ひとつまたひとつと小さい涙の雫が頬を伝う。
なんだか分からないけど悲しみが心にしみわたっていく。
そして自然とそのまま冬眠するように眠ってしまった。

「ここじゃ報われないよ。」

誰かの呟きが聞こえた。
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