5-2 謎の生物

文字数 981文字

 中に入ると広い廊下が奥まで伸びている。その左右にいくつも部屋が並んでいるようだった。

 外見に反して随分広い造りのようだが照明もつかず薄暗いので全貌は見えてこない。

 すげえ数だな
 時間が惜しい。手分けして探そう


 リンは銀騎(しらき)さんと一緒に

 御意

 (はるか)、蕾生、鈴心(すずね)星弥(せいや)の三手に分かれて端の部屋から調べていくことにした。

 部屋は古い本が並べられていたり、植物標本が保管されていたりと、用途別になっているようだった。

 

 その中で(はるか)が踏み入れた部屋には様々な動物の剥製が並べられていた。

 すごいな、博物館並だ……
 永──なんだこれ
 何かあった?

 蕾生(らいお)がいる部屋に(はるか)も入って驚いた。中には壁と見紛うほどの大きな石板がドミノのように整然と数枚並べられている。

 一番前の石板の中央には動物の上半身を彫刻したようなものがあしらわれていた。

 彫刻……?でもやけにリアルだな……


 まるで生身の動物が封印されたみたいな──

 (はるか)が思わずその顔の部分に触れると、瞳が紅く光り、次の瞬間周りの石板が音を立てて崩れていった。
 ──!
 一歩後ずさった(はるか)の目の前には、生きたライオンのような生物が立っていた。その獰猛な瞳は(はるか)を見据えて低く唸っている。
 (はるか)
 蕾生(らいお)がすぐさまその間に割って入る。その背の後ろで(はるか)も背負っていた竹刀に手をかけた。
 (はるか)、どいてろ
 (はるか)は竹刀から手を離し、ゆっくりとその生物から目を離さずに後退りながら部屋を出る。

 蕾生(らいお)も同じように生物から視線を逸らさずに、比較的広い廊下に出た。

 ライオンのような生物は蕾生(らいお)に続いてゆっくりと前へ進む。

 どうし──ヒッ!?
 銀騎(しらき)!来るな!鈴心、守れ!
 !
 鈴心(すずね)は即座に星弥(せいや)の前に躍り出た。星弥(せいや)を守るように立ち、その生物の後ろで息を潜める。
 こっちだ、来い!!

 蕾生(らいお)の声に反応して、ライオンのような生物は真っ直ぐ蕾生(らいお)に飛びかかる。

 蕾生(らいお)はその動きを見定めて一撃必殺の拳をみぞおちに叩き込んだ。

ガアァッ──
 真っ直ぐに叩き込まれた蕾生(らいお)の拳を受け、その生物は動きを止め僅かな呻き声とともに倒れ込んだ。
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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