第1話
文字数 1,598文字
むかしむかし、リリーというとてもゆうきのあるおんなのこがいました。
リリーのすむやまは、もう、とおかもあめがふりつづいていました。
「おかあさん、やまのふもとにすむおばあさんがしんぱいだわ。
わたし、あいにいってくる」
あめよけのずきんをかぶり、リリーはやまをおりてゆきました。
しとしととふるあめのなか、しくしくとどこからか、
なきごえがきこえます。
しとしと、しくしく、しとしと、しくしく。
みみをすませながら、なきごえのするほうへとあるいていくと、
おおきなきのしたに、おおきなみずのかたまりがありました。
みずのかたまりは、リリーのからだよりもおおきくすきとおっていて
ぶるぶるしていました。
しくしくとなくたびに、みずがからだからこぼれおち、
ちいさくなりました。
ですが、おおきなこのはからおちたしずくがあたると、
また、もとのおおきさにもどります。
「あなたはだれ? どうしてないているの?」
リリーがこえをかけると、
みずのかたまりはゆっくりとちかづいてきていいました。
「わたしはとなりのくにのおうじの、ごえいきしです。
わるいまじょがおうじをすきになり、
おうじがことわるとおうじはイモリに、
わたしはみずのまものにされてしまいました。
イモリになったおうじは、みずうみにほうりこまれ、
わたしはみずのなかにはいるととけてしまうので、
たすけにいくことができません。
だからかなしいのです」
「まあ、たいへん。たすけてあげなくては」
みずのまものはリリーのことばにかんしゃし、
みずうみへとあんないしました。
やまのなかのみずうみは、ひどくにごっていました。
リリーがおうじをよびながら、みずうみのまわりをあるくと、
みずうみのまんなかがきんいろにひかりました。
「きっと、あそこだわ」
リリーはくつをぬぎ、すいめんにあしをいれました。
「なんとゆうきのあるおんなのこだ。あなたにごぶうんを」
みずのまものはそういって、
リリーをうしろからだきしめました。
リリーのふくのなかまでみずがはいってきて
つめたかったのですが、
きしのあたたかいきもちが、リリーにつたわりました。
「かならず、あなたのおうじをたすけるわ」
リリーはゆっくりとみずのなかにはいり、およいでゆきました。
きんいろにひかるばしょにつくと、
はだしのあしにふれるものがありました。
リリーはいきをおおきくすいこみ、
みずのなかへともぐっていきます。
にごったみずのなかに、きらりとひかるものがみえました。
それは、ちいさなきんいろのイモリでした。
リリーはうでをのばして、
てのひらでひかるイモリをつつみこみました。
「いそがなくちゃ、いきがくるしくなってきたわ」
すいめんにあがろうとすると、
みずうみのそこからくろくてたくさんのどろのてが
リリーのあしやふくをひっぱります。
あしをつかむどろのてをどかしたくても、
リリーのてのひらのなかにはイモリのおうじがいて
あしをばたばたすることしかできません。
「そのてをひらいて、おうじをはなせ」
おそろしいこえが、どろのなかからひびきました。
「いいえ、かならずたすけるとやくそくしたの。
ぜったいにはなさないわ」
そのしゅんかん、
リリーのふくからむすうのあわがあふれだし、
あわはとうめいのきしとなって、
こしにさしていたけんをひきぬき、
リリーのあしをひっぱっていたどろのてを、
きりさきました。
まじょのさけびごえとともに、みずうみはすきとおり、
みずのなかにきんいろのかみのうつくしいおうじと、
ぎんいろのかみのいさましいきしがあらわれました。
「あなたのゆうきが、
わたしをみずのなかでもきしのかたちにしてくれたのです。
ありがとう、リリー」
ふたりはリリーをみずうみからひきあげ、
おれいをいいました。
あめはやみ、リリーはおうじときしといっしょに
おばあさんのすむやまのふもとへとぶじにたどりつきました。
じゅうねんご、リリーはおうじとけっこんし、
きしとしんゆうになって、しあわせにくらしました。
リリーのすむやまは、もう、とおかもあめがふりつづいていました。
「おかあさん、やまのふもとにすむおばあさんがしんぱいだわ。
わたし、あいにいってくる」
あめよけのずきんをかぶり、リリーはやまをおりてゆきました。
しとしととふるあめのなか、しくしくとどこからか、
なきごえがきこえます。
しとしと、しくしく、しとしと、しくしく。
みみをすませながら、なきごえのするほうへとあるいていくと、
おおきなきのしたに、おおきなみずのかたまりがありました。
みずのかたまりは、リリーのからだよりもおおきくすきとおっていて
ぶるぶるしていました。
しくしくとなくたびに、みずがからだからこぼれおち、
ちいさくなりました。
ですが、おおきなこのはからおちたしずくがあたると、
また、もとのおおきさにもどります。
「あなたはだれ? どうしてないているの?」
リリーがこえをかけると、
みずのかたまりはゆっくりとちかづいてきていいました。
「わたしはとなりのくにのおうじの、ごえいきしです。
わるいまじょがおうじをすきになり、
おうじがことわるとおうじはイモリに、
わたしはみずのまものにされてしまいました。
イモリになったおうじは、みずうみにほうりこまれ、
わたしはみずのなかにはいるととけてしまうので、
たすけにいくことができません。
だからかなしいのです」
「まあ、たいへん。たすけてあげなくては」
みずのまものはリリーのことばにかんしゃし、
みずうみへとあんないしました。
やまのなかのみずうみは、ひどくにごっていました。
リリーがおうじをよびながら、みずうみのまわりをあるくと、
みずうみのまんなかがきんいろにひかりました。
「きっと、あそこだわ」
リリーはくつをぬぎ、すいめんにあしをいれました。
「なんとゆうきのあるおんなのこだ。あなたにごぶうんを」
みずのまものはそういって、
リリーをうしろからだきしめました。
リリーのふくのなかまでみずがはいってきて
つめたかったのですが、
きしのあたたかいきもちが、リリーにつたわりました。
「かならず、あなたのおうじをたすけるわ」
リリーはゆっくりとみずのなかにはいり、およいでゆきました。
きんいろにひかるばしょにつくと、
はだしのあしにふれるものがありました。
リリーはいきをおおきくすいこみ、
みずのなかへともぐっていきます。
にごったみずのなかに、きらりとひかるものがみえました。
それは、ちいさなきんいろのイモリでした。
リリーはうでをのばして、
てのひらでひかるイモリをつつみこみました。
「いそがなくちゃ、いきがくるしくなってきたわ」
すいめんにあがろうとすると、
みずうみのそこからくろくてたくさんのどろのてが
リリーのあしやふくをひっぱります。
あしをつかむどろのてをどかしたくても、
リリーのてのひらのなかにはイモリのおうじがいて
あしをばたばたすることしかできません。
「そのてをひらいて、おうじをはなせ」
おそろしいこえが、どろのなかからひびきました。
「いいえ、かならずたすけるとやくそくしたの。
ぜったいにはなさないわ」
そのしゅんかん、
リリーのふくからむすうのあわがあふれだし、
あわはとうめいのきしとなって、
こしにさしていたけんをひきぬき、
リリーのあしをひっぱっていたどろのてを、
きりさきました。
まじょのさけびごえとともに、みずうみはすきとおり、
みずのなかにきんいろのかみのうつくしいおうじと、
ぎんいろのかみのいさましいきしがあらわれました。
「あなたのゆうきが、
わたしをみずのなかでもきしのかたちにしてくれたのです。
ありがとう、リリー」
ふたりはリリーをみずうみからひきあげ、
おれいをいいました。
あめはやみ、リリーはおうじときしといっしょに
おばあさんのすむやまのふもとへとぶじにたどりつきました。
じゅうねんご、リリーはおうじとけっこんし、
きしとしんゆうになって、しあわせにくらしました。