火曜日
文字数 251文字
火を、見ていた。ゆらゆらと赤い炎が、黒い鉄の箱の中で揺らめいている。
暑い。服や髪が肌にじとりと張り付く。分厚い手袋を嵌めて、黒い箱の扉を開ける。熱波を浴びながら、鋏で紅く光る塊を取り出し、目の前の台の上へと置く。平たい長方形のそれを右手のハンマーで叩く。かあん。かあん。かあん。甲高い音が部屋の中に響き渡る。向きを変えて同じように叩く。何度も叩く。かあん。かあん。かあん。叩く。かあん。かあん。かあん。赤い光が弱くなると、塊を黒い箱に入れ、また揺らめく炎を見つめる。
ずっと、それを繰り返していた。