第3話

文字数 352文字

 そして、翌朝。

 若宮さんを起こしに部屋へ入ると、若宮さんはベッドの上で丸くなり、緑の人形は最前列から隅っこへ移動していた。真ん中には、いつもの猫グッズが並んでいる。まぁ、いい。わかりきっていたことだ。若宮さんは動物が好きだ。別にいい。ベッドサイドの机に飾られていることが重要なのだから問題ない。ここは若宮さんのお気に入りが鎮座する神聖な場所だ。そこから追い出されていないだけで、十分だ。ボクは諦めと、いつかあの中心へボクの贈り物が置かれることを夢見て、カーテンを開ける。室内は朝日に照らされ、若宮さんは悩ましげに目を開ける。

「おはようございます、若宮さん」

「おはよう、世羅くん」

 こうして、若宮さんとボクの一日は始まる。





 ちなみに。
 いつものようにボクがフラれるのは、そんなに遠くない先の話で別の話だ。
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登場人物紹介

若宮カイ(41)

目明し堂を営む張本人

人嫌いで、大のめんどくさがり屋/なまめかしい雰囲気を漂わせている/いつも寝癖がついている/受けた依頼は、世羅くんを振り回してきっちり解決する、やればできる人

世羅宏(30)

若宮の助手兼、運転手、本業は医師

善良な人間(若宮談)/料理を含む、家事全般が得意/彼女が途切れない/いつも若宮に振り回されてる、ちょっとかわいそうな人

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