第一部終幕!それぞれの道
文字数 5,101文字
彼らがどのように生きたのか、ここに書き記しておくことにする。
・北生 蒼 〜 蒼天の革命家
帝国の創始者として皇帝の座に着き、『武帝』という別名を名乗る。生物の在り方を根本から変えるべく、様々な画期的な政策を打ち出し、カラフト帝国を独自路線で経営。自らが掲げる真の平等社会の為に奮闘する。
他国との関係も大事にしていることから、国際社会から評価された。一方で、戦争においては、持ち前の残虐さと冷酷さを全面に押し出し、敵を立ち直れなくなるまで徹底的に叩きのめす残忍な行為を連発。非難の的にもなった。特に戦争相手のロシアからは、鬼畜野郎、残虐陛下などと呼ばれ、恐怖の対象にされた。また、時に狡猾な戦術も用いたことで、乱世の奸雄と呼ばれることもある。
国民からの信頼は厚い。バリアフリーや高齢者介護、子供達の教育や災害対策など国民に寄り添う政治を推進。また、各地の祭りやボランティアにも顔を出し、暗殺を恐れずに庶民の中へ身を置き、共に汗を流して働く姿は、親しみやすい国家元首の鏡として尊敬の的にもされた。
部下からは、軍令違反をする者に対して、冷酷な懲罰を加えることで恐れられる。その一方で、基本的には穏健で、誰のことも平等に評価することから、好き嫌い分かれるものの、どちらかといえば慕う者の方が多い。
プライベートでは、紗宙と結婚。日々彼女に叱られながらも、仲睦まじい生活を送っている。広い邸宅に住んでいるが、家事の雑用をほとんど雇わない庶民主義を貫く。その姿が多くの国民に感銘を与え、信頼される一つの要因ともなった。
とはいえ、野望を腐らせたわけではない。皇帝として国を運営しながらも、日本再統一へ向けて、虎視眈々と列島進出のチャンスを伺いつづる。
・袖ノ海 紗宙 (北生 紗宙) 〜 純白の月光
帝国建国後、皇帝秘書として蒼の側で仕事をしていたが、彼と結婚してからは皇后として公務に従事することになる。
美人でクールなとっつきにくい第一印象とは裏腹に、慈愛に溢れるその人柄は、昔と変わらず多くの人を惹きつけた。そして、国家のファーストレディーとしての役割を存分に果たすのである。
プライベートでは、旦那となった蒼や愛猫レオンとともに、宮中または豊原邸と呼ばれる邸宅で、驕り高ぶらずに細々とした普通の幸せな生活を送る。庶民からは、皇后、または紗宙さんと呼ばれて親しまれている。
人と関わることが好きなので、蒼とともに様々な地域を訪問。行く先々で多くの人を助け、民衆から感謝状を頂くことも多い。コミュニケーションが苦手な蒼と国民の架け橋的役割も果たしている。
・カネスケ (直江 鐘ノ助) 〜 小伏竜
建国の英雄の一人として語られるようになる。彼のエピソードを知った人々は、実際に会ったことがないのにも関わらず愛着を持ち、中には彼をモデルにした小説やドラマを作るクリエイターもチラホラ現れた。
帝国建国後。彼の葬儀が改めて行われ、関わりのあった革命団メンバーを中心に、民衆を含めた多くの人々により盛大に葬られる。彼の葬儀は、帝国初の国葬となった。
・先生 (諸葛 真)〜 創世の天才
建国後、すぐにニューヨークへと渡り、国際連合や諸外国との交渉に取り掛かる。その見事な交渉により、カラフト帝国は国際的に認められ、世界の後押しを受けられるようになった。
また、彼が蒼に手渡した知恵袋のおかげで、帝国はロシアを打ち破ることに成功。国内外問わず、天才軍師の名を轟かせ続けることとなる。
国政に置いても初代宰相を務め、軍事に関わる一方で内政にも力を注ぐ。彼が宰相に就任してから法律の多くが制定されて、荒廃していた国土も1年で元へ戻り、更に発展を遂げることになる。
・河北 典一 〜 忠義の格闘家
蒼が皇帝に就任する姿を見届けてから、国政とは距離をおいて、スローライフを送ろうと考えていた。
しかし、蒼のたっての願いということもあり、政府を離れることを辞め、兵士に武術を教える師範として国家へ貢献していく道を選んだ。
その後、皇帝近衞部隊の隊長の座で落ち着いた。
・市ヶ谷 結夏(直江 結夏)〜 革命団の太陽
帝国建国と同じ年、カネスケの息子を出産。当初は極京に住んで育児に励んでいたが、暖かい地域で子育てをしたいという思いから、蒼の計らいでアメリカのカリフォルニアへと転居。
シングルマザーとして子供を育てながら、空いた時間を見つけては、ヘルプとして現地の美容院へ出勤。言語の壁を超えて地域の人々に愛されながら、美容師を続けている。
・市ヶ谷 灯恵(直江 灯恵)〜小卒の外交官
帝国建国後、先生と一緒にニューヨークへと渡る。そこで彼の秘書を務めながら、自らも外交交渉に参加。
アメリカ在住中に、蒼の許可を得た上で現地の語学学校へと留学。帝国へ帰国した時には、英語もネイティブ並みに話せるまでに成長していた。
帰国してからは、ロシア連邦との外交交渉で、その語学力を遺憾無く発揮。彼女の活躍もあり、交渉において帝国が優勢に立てたことで、ロシアから多額の賠償金と北カラフトを譲渡させることに成功した。
ロシア語、日本語、そして英語の3カ国後を感情豊かに話す彼女は、諸外国から関心の的となり、『小卒の外交官』として世界に名を知らしめることになる。
・関戸 龍二 〜 片目の龍
帝国軍初代総司令官へ就任。先生と共に帝国軍の編成や育成に尽力。カラフト各地で起こった反乱やテロ、その他犯罪の鎮圧を行い、国の治安の安定に貢献。ロシアとの北伐戦争では、先頭に立って戦い、帝国軍を勝利へと導いた。
軍事以外では、皇帝に物を言える数少ない存在として、政府内で重宝される。蒼が間違った判断をしようとした際に、堂々と意見を言うなど、彼の影響力は大きい。
・酒々井 雪路 〜 志を記す者
カラフト帝国の初代法務大臣。憲法や国の制度作りのほとんどに携わり、帝政民主主義の基礎を作った人物として知られるようになる。皇帝である蒼の過激な意志を取り入れながらも、国民が暮らしやすいようにバランスを考えながら決まりごとを作るなど、精神をすり減らしながらも器用に国家運営へ関わって行く。
また、蒼からの依頼で、カラフト帝国の成り立ちとその後を書き記す『ニホン散国志』の編集者にもなり、日々忙しい生活を送り続けている。
たまの休みに、龍二とカラフト各地をツーリングすることもあり、自身が主催のバイクサークルも立ち上げた。
・イカシリ 〜 お洒落なスナイパー
帝国軍のスナイパー部隊の設立に貢献。射撃の腕は衰えることを知らず、北伐戦争ではその腕を遺憾なく発揮。帝国設立後にイスラエルで開催されたエルサレムオリンピックでは、クレー射撃の選手として帝国初の選手団を率いて参戦する。
他にも、カラフト中のヒグマを管理するマタギ省の初代大臣も兼任。帝国警察や軍と協力しながら、獣害への対処も行なっている。また、皇帝直属暗殺部隊にも所属して、日本国やロシアからのスパイの粛清に携わるなど、国家の陰の部分にも関わりを持つことになった。
プライベートにおいては、趣味で作っていた洋服が海外のデザイナーの目にとまり、晴れて夢でもあったアパレルブランドを立ち上げる。そこでデザイナー兼社長として、休みを返上しながら好きな仕事に勤しんでいる。
・間宮 恋白 〜 次世代の革命女
極京にて、父の麟太郎と幸せな日々を過ごす。灯恵と結夏が海外へ行ってからは、紗宙を実の母のように慕い、幼稚園で作った友達と一緒によく豊原邸へと遊びに来るようになる。
紗宙の飼い猫であるレオンとは仲良しで、レオンが恋白のことを慕って時たま間宮家の玄関に顔を出しに行く程。
・間宮 麟太郎 〜 優しき父
帝国の初代経済担当大臣。元々は、恋白との時間を優先させたかった為、大臣を務めるつもりはなかった。しかし、蒼に直接頭を下げられ、家庭優先を条件に大臣へ就任することとなる。
有識者と話し合いを進めながら、帝国の株式市場と国家の中央銀行である『帝国銀行』の設立に携わった。
・許原 長治 〜 戦場の横綱
軍人として、各地で戦いに明け暮れる日々を過ごす。彼の率いる第八師団は、北伐戦争において大活躍を見せ、その報酬として北カラフト治安維持局長も務めることとなる。
イカシリと共にオリピックへも出場。相撲の選手として国際的にも認知度が上がった。
・レオン 〜 皇后の愛猫
豊原邸にて、皇帝夫妻と共に幸せな毎日を過ごす。紗宙のことはもちろんだが、蒼にも懐いていて、彼の心の支えにもなっている。
・石井 重也 〜 革命の先駆者
帝国議会の初代議長として、国の議会や議員選挙の仕組み作りに貢献。兼任していた平和の党の幹事長は、矢口の許可を得た上で退職。正式に帝国の政治家の道を歩んでいくことになる。
彼も先生や灯恵に負けず劣らずのロシア語を話せるので、通訳としても力を遺憾なく発揮した。
・奥平 睦夫 〜 クールな武闘派
しばらくは石井のボディーガードを続けたが、蒼から正式に軍隊への移籍の命を受け、帝国軍第5師団の司令官に就任。北伐戦争では、千島列島方面で軍を率いて戦う。彼がその時にアッツ島を制圧したことで、千島列島も帝国の領土へと組み込まれることとなった。
戦後は、一時期帝国議会で議員を務めたが、政治よりも軍人が性に合っていることに気づき、再び軍へと戻る。その後、日本再統一の最前線とされるコルサコフの防衛を任されることになる。
・風吹 防夷 〜 雪原の革命児
石井の家に住まわせてもらいながら、一般人として極京で学生生活を送っていた。しかし、2年後に起きた北伐戦争の際、志願兵として帝国軍の門を叩き、再び帝国の為に戦う道を選ぶ。
その戦争中、AIMの将軍ユワレに鍛えられながら戦いの心得を学んだ。戦後は、豊原七銃士の1人となり、帝国軍の期待のルーキーとして一目置かれる存在の1人となった。
・首里八 勝貴 〜 革命団の影
建国当初は、アメリカへ渡った先生の代理で帝国軍軍師を務め、兵士の育成に力を注ぐ。元々教師だった為か、その豊富な知識と指導力、頭の回転の速さが評価され、政府内でも一目置かれる存在となる。
しかし、社会への恨みと過激思想も持ち合わせていたので、時折行き過ぎた行為も実行して、政府関係者の一部から非難の声が上がることもあった。
蒼との相性は良く、彼の相談役としても重宝されて行く中で、皇帝直属暗殺部隊の長に就任。時に手を汚しながら、国を影から支えて行くことになる。
・サク 〜 英雄の末裔
AIM2代目首長へ就任後、道東および旭川の人々のために力を尽くす。父の意志を強く受け継ぎ、アイヌと和人のわだかまりが一切ない平等な社会の実現に向けて領土の経営。
その傍ら、カラフト帝国の良きパートナーとして国づくりをサポート。帝国が北伐戦争に勝利できたのは、彼が力を尽くしたことも理由の一つだ。
元青の革命団メンバーと時折連絡をとっており、気にかけ続けている。
・アイトゥレ 〜 首長の右腕
サクが首長に就任してからも、引き続きAIM軍の司令長官を任され続ける。
弟子のような存在のカネスケの死を知った時は嘆き悲しみ、一時は自宅に引きこもっていたこともあった。
帝国建国後に行われたカネスケの国葬では、仕事そっちのけで帝国を訪れ、墓前で想いを語った。
・ユワレ 〜 赤き獅子
蒼から何度もオファーを受けたが全て断り、サクへの忠誠を誓い続ける。その義に熱い性格から、AIM領内外問わず多くの人から好かれている。
カラフト帝国とロシア連邦の戦争である北伐戦争には、多忙なサクの代理として援軍を率いてカラフトへ渡り、蒼の指揮下でロシアと戦った。この時に帝国軍の見習い兵士の訓練も任され、そこで経験を積んだ7人の兵士が、戦後に豊原七銃士として名を馳せることとなる。
・豊泉美咲 〜 銀髪の刺客
古丹別の一件の後、札幌へ戻り再び官軍の幹部として仕事を続けていた。知事の京本に従いつつも、陰ながらカラフト帝国をサポート。時に有益な情報を蒼に提供する。
また、紗宙との交友は続いていて、公務外ではお互い連絡を取り合い支え合う。出張を理由に極京を訪れては、突然宮中を訪れるなど、相変わらず自由奔放な日々を過ごしている。
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(第一部 終幕)