7月21日

文字数 1,250文字

珍しく休日に早く起きた。

とは言っても11時だけど。

今日は舜の家に行く日だ。

約束は17時に代々木公園駅。

身なりを整え出かけた。


代々木公園駅17時


「久しぶり!!ちゃんと生きてるみたいで安心したぜ!」

舜は相変わらず変わってない。

この明るさに大学時代は何度も救われた。

「舜も相変わらず元気そうだな。
 家ここから近いのか?」

「10分ぐらい!立ち話もなんだから早速行こうか!」

舜の家まで歩きながらお互いの近況報告と今日の詳細について話した。

肝心の家で何があるかは
「来てからのお楽しみ!」とはぐらかされた。

舜の家は高層マンションだった。
俗に言う勝ち組の住処だ。
俺は到底住めそうにない。
部屋も想像以上に広かった。
(一人暮らしにしては広すぎだろ…)

「で?今日は一体何があるんだよ。家にも着いたし教えてくれよ」

「そうだな!丁度そろそろ帰ってくる頃だ」

「帰ってくる…?」

状況が掴めない。
「来る」なら分かるが「帰ってくる?」
一体誰が?

?を頭で浮かべている間に玄関が開いた。

「ただいまー、やっと学校終わったよ舜にぃ」

現れたのは小学生ぐらいの少年だった。

「おお、おかえり!ベストタイミングだ!
紹介したいお兄ちゃんがいるんだよ!
あぁその前に手洗いうがいな」

「おいおい、舜これどういう状況?
小学生ぐらいの少年が帰ってきたし…
それに舜にぃって」

理解が追いつかない。
女の子でも呼んでるのかと思っていた俺の脳なら尚更だ。

手洗いうがいを済ませた少年が戻ってきた。

「純平紹介するよ。こいつはタケル。
俺の甥っ子だ。
タケル、このお兄さんは純平だ」

「よろしくね!」

少年は笑顔で手を俺の前に出す。

「えーと…タケル?よ、よろしく」

整理すると目の前にいるのは舜の甥っ子のタケル君という子らしい。

「今日純平を呼んだのは他でもない。
実は俺は明日から上海に研修に行かないと行けなくてな。
その間タケルの面倒を見て欲しいんだ。
報酬は勿論支払う! 
後俺の家を好きに使ってもらっていいから!」

「は?え?明日から上海?
それより俺がこの子の面倒を見る?
唐突にも程があるだろ!」

「いやぁ伝えると断られちゃうかもしれないからさ笑 頼む!この通りだ!普段は俺が面倒を見てるんだけど、上海までは連れて行けなくてさ。
色々と事情があるんだよ」

そう言って舜は俺の目の前に10万円を置いてきた。

「ひとまずはこれは手付金だ。好きに使ってくれていい。俺が帰ってきたら更に10万円渡す。
どうだ?」

子供の面倒見て20万円か…
まぁ悪くはないかも。
クソガキって感じでもなさそうだしな。

「全然状況分かってないけど、とりあえず分かった。見てやるよ面倒。残り10万円は絶対渡せよ。」

「さっすが純平!心の友よ。引き受けてくれて本当に助かるよ!タケルが1人になっちゃって心配だったんだ」

「で?何日間預かるんだよ?1週間?」

「夏休みまるまるだな!まぁ40日ぐらい?」

「40日!?」

「やったぁ!純にぃが僕と遊んでくれるんだね!
よろしく!純にぃ!」

タケルの笑顔がそこにあった。

甘く見ていた。
世間はそう言えば夏休みだ。


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