レベル０　プロローグ

　遠い昔の話。

　モンスターに襲われて逃げていた僕を助けてくれた男が居た。その男は森の木々より大きな怪物をあっという間に倒して僕を救ってくれた。

　「どうしたらあなたみたいに強くなれますか？」

　当時の僕は襲われたばかりで腰を抜かしながらそんなことを訊いた。

　当時からレベル1だった僕はどうしても強くなりたかった。あらゆることを試し、鍛えた。モンスターに襲われたのも無謀なレベリングが原因だった。

　モンスターを斬った男は僕の問いにこう答えた。

　「俺は強くなんかない。君と同じさ。ただ、俺は自分の持っているものを全部使う。そして俺はそれが全部僕の力になってくれると信じている。君の力を信じれば君の力はきっと応えてくれるさ。」

　そう言って僕に笑いかけてくれたのを今でも覚えている。