第3話 初恋の終焉
文字数 860文字
「優紀、やっぱりひとりじゃ怖いよう。一緒に来てー!」
「大丈夫だって、女子人気ナンバーワンの茉優ちゃんにチョコもらって、喜ばない男子いないってば」
「え、だってー、怖いんだもん。優紀、お願い!」
顔の前で手を合わせて上目づかいに私を見る茉優ちゃん。なんて可愛いんだ!!
「もう、わかったよ。じゃ達也くんの家まで付き合うよ」
「やったー! 優紀ありがと、大好きー!」
無邪気に抱きついてくる茉優ちゃん。柔らかい髪の毛から甘くいい香りがして、私はもう溶けそうだよ……。
しかしやはり、私は一緒に行くべきではなかったのだ。
達也くんの家に着くとピンポンを押して待った。すると都合のいい事に、出てきたのはお母さんではなく達也くん本人だった。
「おう、なんだ山田と井上か」
「あっ、達也くん、あのね、これ、あたし作ったの」
頬を真っ赤にそめてピンクのリボンで結んだ小箱を差し出す茉優ちゃん。一歩下がって、複雑な気持ちでそれを見ている私。すると
「……あー、ごめん、この際だから言うけどさ、俺、井上のことが好きなんだよね」
……は?
驚愕の表情でこちらを振り返る茉優ちゃん。固まる私。
「いや、え、それはない」
どぎまぎしつつも、茉優ちゃんを見ながらしっかりと意思表明をする私。でも時すでに遅し、茉優ちゃんの大きな瞳にはどんどんと涙があふれ出す。泣きたいのはこっちだよ……。
「ひどいっ!!もうやだ!」
そう言うと茉優ちゃんはその場から走り去った。
「茉優ちゃん、待って!」
「井上、待てよ!」
追いかけようとした私の腕を、達也くんがつかんだ。
「うるさいっ!茉優ちゃんを泣かせやがって、お前最悪なんだよっ!」
つかまれた腕の力が緩んだ。私は、はっとして達也くんを見た。その顔には、なんとも言えない悲しみが浮かんでいる。
しまった。達也くんに恨みはない、こいつはいい奴なのに。
「……あ、あの、ごめん、そういう意味じゃなくて、」
「あ、いや、こっちこそ変なこと言ってごめん。山田にもあやまっといて」
こうして私は、初恋と級友、いっぺんに両方失うことになった。
「大丈夫だって、女子人気ナンバーワンの茉優ちゃんにチョコもらって、喜ばない男子いないってば」
「え、だってー、怖いんだもん。優紀、お願い!」
顔の前で手を合わせて上目づかいに私を見る茉優ちゃん。なんて可愛いんだ!!
「もう、わかったよ。じゃ達也くんの家まで付き合うよ」
「やったー! 優紀ありがと、大好きー!」
無邪気に抱きついてくる茉優ちゃん。柔らかい髪の毛から甘くいい香りがして、私はもう溶けそうだよ……。
しかしやはり、私は一緒に行くべきではなかったのだ。
達也くんの家に着くとピンポンを押して待った。すると都合のいい事に、出てきたのはお母さんではなく達也くん本人だった。
「おう、なんだ山田と井上か」
「あっ、達也くん、あのね、これ、あたし作ったの」
頬を真っ赤にそめてピンクのリボンで結んだ小箱を差し出す茉優ちゃん。一歩下がって、複雑な気持ちでそれを見ている私。すると
「……あー、ごめん、この際だから言うけどさ、俺、井上のことが好きなんだよね」
……は?
驚愕の表情でこちらを振り返る茉優ちゃん。固まる私。
「いや、え、それはない」
どぎまぎしつつも、茉優ちゃんを見ながらしっかりと意思表明をする私。でも時すでに遅し、茉優ちゃんの大きな瞳にはどんどんと涙があふれ出す。泣きたいのはこっちだよ……。
「ひどいっ!!もうやだ!」
そう言うと茉優ちゃんはその場から走り去った。
「茉優ちゃん、待って!」
「井上、待てよ!」
追いかけようとした私の腕を、達也くんがつかんだ。
「うるさいっ!茉優ちゃんを泣かせやがって、お前最悪なんだよっ!」
つかまれた腕の力が緩んだ。私は、はっとして達也くんを見た。その顔には、なんとも言えない悲しみが浮かんでいる。
しまった。達也くんに恨みはない、こいつはいい奴なのに。
「……あ、あの、ごめん、そういう意味じゃなくて、」
「あ、いや、こっちこそ変なこと言ってごめん。山田にもあやまっといて」
こうして私は、初恋と級友、いっぺんに両方失うことになった。