第2話

文字数 499文字

             日常
「優、起きなさい!」平日の朝はいつも母の声で目が覚める。大学一回生の僕は取得しないと行けない単位がいくつもあり、月曜から木曜は朝7時起き。金曜は、授業が午後からの分しか取っていないため、10時位まで寝る。  「今日も1限から授業でしょ、早く支度しなさい。」僕は唸るように低い声で、分かってる、と返事した。  嘘だ。僕は大学に入学したものの、1週間で学校にはいかなくなり、母には学校に行ってないことが、バレないように毎朝早い時間に家を出て、ただ自転車を漕いだ。そして10時になると、パチンコ屋に行く。お金がなくならないようにゆっくりと玉を打つ。授業が終わる時間に合わせ、打つのをやめて家に帰る。母には今日はどうだった?と聞かれた時にパッと答えられるように、抜き打ちテストがあって大変だったなど適当に考えていつでも答えられる準備をしている。これが僕の日常だ。なんでこんな日々が日常になったのか、自分で自分に何度も何度も問いかけた。ただその答えはいつまで待っていても、帰ってくることはなかった。虚しさに耐えられず、逃げ出すのが、僕の悪い所だというのは自分が1番分かっている。
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