雪城家の話

文字数 407文字

 雪城(ゆきしろ)家では、曾祖母の遺品である茶運び人形に毎日食べ物をあるいは飲み物を供える事が代々のしきたりである。どんな災難に遭っても、人形が仕返しをしてくれるからだそうだ。
 曾祖母はいやらしい悪戯をしてくる兄から、祖母は底意地の悪い姑から、母は体罰をしてくる教師から、父は無理難題をふっかけてくる上司から。
 長男である鷹仁(たかひと)は全てこじつけだと思っていた。
 しかしある時妹が行方不明になってしまう。警察はただの家出だととりあってくれず、鷹仁は藁にも縋る思いで人形に嘆願した。すると、妹は自力で帰ってきた。首席を狙う同級生に廃屋に閉じ込められ、脱出できたはいいが山道に迷っていると件の茶運び人形が道案内してくれたという。
 それ以来、鷹仁は茶運び人形に酒を供えるようになった。
 そしてその都度お願いする。

「ちゃんとわかっているんで首級とか持ってこないでください、今は後処理大変なんで」

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