J-PlatPatを使ってみよう(2021.9.2)
文字数 2,797文字
インピットの設立は平成13年(2001年)で、比較的若い組織なんだなという印象ですが、ホームページの沿革をチェックしたところ、前身となる「農商務省工務局内商標登録所図書係」というお役所内の部署(かな?)が明治17年(1884年)6月にスタートしているので、けっこう古くから活動しているようです。当初の活動内容が“図書の閲覧、商標見本の観覧”となっているので、どうやら産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)の情報管理を専門に行っていたみたい。今回紹介するJ-PlatPatも、産業財産権の情報をデータベース化したシステムなので、創業当初から変わらず情報管理の役割を果たしているわけですね。
J-PlatPatの主な使い道は、産業財産権の調査です。誰かが権利を取得していることを知らずに、同じものや似たようなものを出願申請してしまうと、権利を取得できないうえ費用や労力が無駄になってしまいます。そうならないよう事前に調査できるツールが、このJ-PlatPatなんですね。
ということは、産業財産の出願をしないわたしたちには関係ないじゃん、と思えますが、実はお遊び感覚でけっこう楽しめるんです。実際に簡単な作業をやってみますので、よければ一緒にお付き合いくださいませ。
まずは、J-PlatPatにアクセスしてください。→ https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
一番上の青色のヘッダーに、特許・実用新案 意匠 商標 審判とありますよね。このなかの商標をクリックして、上から2番目の商標検索を選択してください。入力する窓がずらっと出てきますが、全部無視してスクロールして、下のほうにある検索オプションをクリックして開いてください。開くと上から四つ目に、商標のタイプという項目があるので、このなかの音商標にチェックを入れてください。そして、一番下の検索を押すと、登録されている音商標がずらっと出てきます。
No.1には久光製薬の音商標が出ていると思います。青色で表示されている、登録5804299をクリックすると、別タブが開いて詳細が表示されます。開いた右側に音符が出ていますよね。その下に音声再生ボタンがあるので押してみてください。ほら、聞き覚えのあるフレーズが流れてきたでしょう。検索結果の一覧を見ると、知ってるフレーズばかり並んでいます。気になる音商標があったら、開いて聞いてみてください。
キリのいいところで手を止めていただいて、もう一度、さっきの検索オプションの商標のタイプを見てください。立体商標、音商標、動き商標、位置商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、標準文字商標、と並んでいます。つまり、これらのものが商標として登録できるということです。気になる商標タイプがあれば、音商標のときと同じようにチェックを入れて一覧を表示してみてください。けっこう楽しくて、ずっと見ちゃいます。
わたしが面白いと思ったのは、動き商標のNo.32、しあわせ少女ゆうかちゃん。こんなのまで登録できるんだ、とビックリ。あと、珍しいと思ったのが位置商標です。No.9を見ると、ゲーム機のコントローラーのボタンが、右上の位置で商標登録されています。試しに検索サイトで、ニンテンドースイッチ コントローラー で検索をかけて、ショッピングサイトを開いて確認すると、どれもボタンが登録どおりの位置になっていました。登録商標って本当に使われてるんだなぁ、とあらためて実感です。
最も簡単な使い方は、こんなところかなと思います。あと、ランダムに検索してみるのも面白いです。J-PlatPatのトップページの左上のロゴをクリックすると、簡易検索の画面が開くので、入力バーに適当なキーワードを入れてみます。たとえば「特許庁」と入力して検索すると、結果がずらっと出てきます。特許・実用新案318件、意匠8件、商標9件、こんなにあるんですね。特許・実用新案のNo.7の、出願人/権利者は特許庁長官ですって。なんか笑えます。
そうそう、特許を受ける権利はお役人にもあるんです。要件を満たす発明をすれば、小学生でも特許を受ける権利が発生します。もちろん、わたしたちにも権利は発生します。ただ、その前に特許要件を満たす発明をする必要がありますけど。
ほかにも、簡易検索でいろいろ遊んでみました。「ジャニーズ」と入力したら、特許・実用新案が7件、商標が92件ありました。特許・実用新案のNo.2を見ると、早変わり舞台衣裳が実用新案登録されています。出願人/権利者は、もちろんジャニーズ事務所。考案者は、藤島 メリー泰子さんという方になっています。商標のほうをクリックしてみると、見事にジャニーズ事務所の登録商標がずらり。標準文字商標と、色彩のみからなる商標が多いですね。
あと、先日話題になった、たけのこの里も検索してみたんですが、キーワードでは標準文字商標しか出てこなくて、立体商標が出てこなかったので、ネットで登録番号を調べました。入力バーの上の商標を選択してから、6419263と入力すると、一発でたけのこの里の立体商標が出てきます。詳細を見ると、上下左右天地がカラーで表示されています。ちなみに、きのこの山は登録番号6031305です。興味がおありでしたら、こちらも番号で簡易検索してみてください。
専門家の方が見たら、なんじゃこりゃ、と思いそうなほど初歩的かつ単純な説明でしたが、J-PlatPatの紹介は以上になります。実を言うと、わたしも詳しい使い方がわかっていないので、講習を申し込んだところです。講習は秋に実施されるので、面白い情報を入手したらまた投稿しようと思っています。冬になってもJ-PlatPatに関する投稿がなければ、面白いネタはなかったんだな~と察してやってください。
J-PlatPat、いかがでしたか。夏休みは終わってしまいましたが、子どもさんの自由研究などにも使えるんじゃないかと思います。登録されている商標をピックアップしてイラスト付きで紹介したりとか、まちなかにあるマークが商標登録されているか調べてみたりとかとかとか。
たぶん今後の投稿で、「J-PlatPatで検索したら」というフレーズを使う場面が多々出てきそうな気がしたので取り上げてみました。次回のネタは、まだ考え中です。投稿までしばらくお待ちくださいませ。
[参考]
独立行政法人 工業所有権情報・研修館ホームページ
https://www.inpit.go.jp/