ピンクのロングヘアを靡かせる男の娘

文字数 1,580文字

 クエストから帰還して数日が経つ。ドラゴンはまだ現れない。私は謹慎期間が終わりというか誤解が解け食事処で働きはじめた。私がダメージを与えてしまった者たちは悪事を働いていたのがわかったのだ。しかも悪者を発見したとして表彰状までいただいてしまった。

 私の『声』の能力でわかったことは自分自身を守ろうとして攻撃をしてしまうパターン。スライムの時が多分それな気がする。普通にモンスターを見て話していても攻撃にはならなかったので自身がピンチの時に防衛本能的な何かが反応するようだ。また相手が誰かを攻撃していると認識すると攻撃になってしまうパターンもある。それが食事処で唄った時に起きたこと。

 この能力の欠点は今のところ自分で制御できていないということ。攻撃対象を現状は間違っていないようだけど、間違える可能性だってあるというのが不安要素でもある。

 あと『魅力』のステータスに関してわかったことは他の者は魅力のステータスを変更できないということ。私の場合は「てへぺろ死」というのがあり、手違いで転生ということで自由選択が出来たため『魅力』極フリというのが可能だったということ。人には言えないが私は他ステータスがオール1なので魅力の数字はスゴイです!

 何故そのことがわかったかというと、転生者はゲームのようなステータス画面みたいなものが見られるから。周りの人のステータスをみると魅力というステータスは低ければ一桁で高くても三桁はいかない。冒険に出ていてレベルが上がったとしても上がる対象にはならないのも確認した。この魅力というステータスは周りからの評価というシステムで上がることがここにいてわかった。人に接する頻度が多い人ほど魅力のステータスが変化する。



 話は戻りますが普段は食事処で働き、夜にたまに唄を歌う。そしてたまに冒険に行く。一応私の目的は天使様と一緒に暮らす! 願いを叶える石とやらを探す! というのがあるので冒険にも出なければその目的も達成できないので少しずつだけどクエスト達成も頑張っていこうと思う。まあ皆の力を借りまくってという感じだけど。

「ほほう。君にはそんな目的があったんだね」と聞き覚えのある声がするなと振り返ると、そこにはクリンと大きな瑠璃色の瞳と鴇色の長い髪を靡かせ、シスターの格好をした美しい女性が座っていた。

「あはは。そんなに褒められると照れちゃうな」と頬をピンク色に染めモジモジとする女性。
 あれ? 私の心の声が聞こえている? ということは?

「そう、僕があの時のアレだよ」
 やっぱり! あの時のドラゴンなんだ!

「はい! お待たせしました! 例の品を持ってきたよ」
「失礼ですが、女性だったんですね」

「うんにゃあ、僕は男の娘(・・・)だよ。中身も体も男、外見は女で胸は盛ってる感じ」
「ん? え? あー! そうなんですね」

 私と逆パターンな人? ということよね?

「なんで急に敬語になったんだよ。この前見たく対等に話そうよ」
「まぁ今はあくまでお客様相手ですから、敬語は当然なんですよ」

「そっか、仕事中だったね。仕事が終わったら外で話そうよ。例のモノも渡したいし」
「ここではダメですか? ご馳走もしますよ」

「うふふ。君はどんな格好をしても目立つね。そして魅力的だ」
「その言葉はそっくりそのままお返ししますよ」

「見てご覧よ! 皆の視線は僕らに釘付けだよ」と言われ周りを見渡すと確かに視線を感じる。そうか自分で言うのもあれだけど美男美女の組み合わせだから目立ってしまうのか。

「そゆこと。だから君が仕事を終えたら外に行こう!」
「わかりました。もうすぐで終わるのでお待ち下さいね。あ! そういえば、名前を聞いていなかったです」

「あぁ! そうだったね! 僕はラルム。よろしく、ノア」とピースをしながらウインクをする。
「ラルムさん! よろしくお願いします」と私は会釈をする。
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