第14話 行け、そして見よ

文字数 850文字

 ボストン・リスボン間の路線も開通し、メシヤたちはヨーロッパ大陸に到達していた。
ここからメシヤたちは、ヨーロッパ・アフリカ環状線を通ることにしている。
まず、パリへ抜け、ボスポラス海峡を渡ってトルコへ行く。次にシリア・レバノンを東地中海沿いに南下し、エリたちの故郷・イスラエルへと向かうのだ。

 その後は、エジプトのアレクサンドリアに滞在し、リビア・チュニジア・アルジェリア・モロッコを通過してジブラルタル海峡を渡り、またリスボンへ戻るという、壮大なミステリーツアーサークルを描く。

「お姉様。メシヤさまがエルサレムへ凱旋されるのは、万感の思いですわ」
「うン。メシヤにとって第二のふるさとと言っても過言ではないからネ」

「何をひそひそ話してるのかしら?」
 裁紅谷姉妹の会話に、マリアが割り込む。

「いえ。あの時のマリアさま、ジャンヌダルクのように勇ましかったですわ」
 レマが話をすりかえてごまかす。

「うんうン、メシヤ以外にも聖剣を使えるなんて羨ましイ!」
 エリも同調したが、その言葉は本心であった。

「自分でもよく分からないんだけど、何か懐かしいような感覚だったわ。
 そして、血がたぎるようなね!」
 マリアはそう言うと、肘を曲げて拳をふるわせた。

「マナさまの聖杯もまた大活躍でしたわね。ふんだんに資材が揃って、あっという間に組み上げられていったのですから」

「えへへ・・・」
 マナは照れ笑いをする。

「みんな盛り上がってるね!」
 メシヤがさらに室温をあげる。

「あの調子なら、今年中には六大陸が繋がるな」
 イエスが進捗を報告する。

後部車両から、車掌役の男があらわれた。
「みなさん、パリの灯りが見えてきましたよ」

レオンがそう告げると、一同は窓の外に目を向けた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ハイパーループ特別室にて。

(やっとメシヤくんの旅も第一段階が終わったな)
男は物思いに耽っている。
リモートで誰かと話している最中にもかかわらず、他ごとを考えているようだ。


《ボス? まだ話は終わっちゃいませんぜ?》










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